03: Every medal has two sides

 帝都の下町を夕焼けが染めていた。夜の帳が下ろされるのははもうすぐだ。
「この子、知り合い?」
 宿屋帚星に向かう途中のこと。連れ立って歩くセシリアとユーリの他に歩調を合わせるものがあり、セシリアは彼を振り返りながらユーリに訪ねた。
「ああ、紹介するよ。ラピードだ」
「ワンッ」
 青い毛皮の犬が主張するように鳴いた。
 可愛い、と顔をほころばせて、セシリアは彼の前に膝を折った。
「こんにちは、ラピード」
 稲妻に似た形の長い尻尾がゆらりと揺れる。つり上がった好戦的な目はじっとセシリアを見つめていた。身体は大人の犬と同じくらい大きいが、柔らかそうな毛皮や未熟な筋肉を見るとまだ若い。右目は大きな傷によって潰れており、口には大きなキセルをくわえていた。
 しばらくラピードと見つめ合ったあと、セシリアは彼の額に手を伸ばす。するとラピードはぱっと後ろに下がってセシリアから逃げてしまった。
 その目は驚いているセシリアを映したまま微動だにしない。警戒されていていた。
「こいつ、俺とフレンで拾ったんだけどさ。あの怪我、人間に傷つけられたらしくて、未だに俺たち以外には懐かないんだよ」
「そうなの……」
 ユーリの説明を聞いて、セシリアは痛ましそうに、残念そうに眉根を寄せてラピードの傷を見つめた。頭上から口元まで延びる傷は、彼の右目の視力を完全に奪っていた。
 自分の身長ほどもある尻尾を真っ直ぐに立て、澄んだ隻眼でセシリアを見据えたままの彼の姿は人間を恐れている卑屈なそれではなく、むしろセシリアが彼の眼鏡にかなう人間かどうか見極めてやろうという冷静な、観察者のそれであるとセシリアは感じた。
 そんな彼が、セシリアは気に入った。
「私も君と仲良くなれたら嬉しいな。これからよろしくね、ラピード」
「こいつはいい奴だからさ、そうつれなくしないでやってくれよ」
 ユーリに言われてラピードは鼻を鳴らし、尻尾を揺らした。ユーリの顔を立ててやろうということらしい。
 セシリアは歩み寄ってくれた感謝の笑顔をラピードに返した。紹介を終えて立ち上がると、その笑顔に含みを持たせてユーリを見上げる。
「こんなに素直に誉められたの、初めてのような気がするんだけど」
「下手に本当のこと言うと、ラピードが警戒しちまうだろ?」
「ああ、なるほど。ありがたいお気遣いね!」
 セシリアはわざとらしく笑みを浮かべてみせたが、ふいに相好を崩すと吹き出した。
 それにつられてユーリも笑い出す。肩を揺らして笑う二人の間には、離れていた二年という月日の空白はなくなっていた。
「はあ、もう。全然変わってないんだから」
「そりゃこっちの台詞だって。お前身長も伸びてないんじゃねえの?」
「成長期なんかとっくに終わってるわよ。ていうか、君は少なくとも髪を切ってぴしっとした身なりになってると思ってたんだけど」
「あー。髪は面倒で……。そろそろ切るかなぁ」
 避けてきたところに話題が戻されてしまい、誤魔化すようにユーリは肩まで伸びた黒髪を一房掴んだ。
 セシリアは腕を組んでそんなユーリに呆れた視線を送った。
「はぁ。振り出しに戻るって訳ね。……お互い」
「振り出しってなあ。ていうかお前こそ、どうして帝都に戻ってきたんだ? もう五年経ったけか」
 今度はユーリがセシリアを質す番だった。セシリアは眉根を寄せて首を振った。
「今日の昼にここに着いたばかりなのよ。着いたら着いたでいきなりやっかいごとに巻き込まれるし」
 疲れた、と大げさに溜息を吐いてセシリアは早く休みたいと言いながら歩調を早めた。
「んじゃ、話はゆっくり休んでからにすっか」
「そうそう。そうしよ」
 そして二人は、宿屋に入った。


 ***


 宿屋帚星は一階が食堂になっており、夜には仕事を終えて疲れた男たちが一杯の酒を飲みにやってきた。二階の宿泊部分への階段は外に着けられており、セシリアは女将に声を掛けると部屋の鍵をもらった。
 すでにハンクスがセシリアの帰郷を伝えていたらしく、女将は鍵を手渡しながら「あんたの部屋、空けておいたよ」と言った。
「ありがとう。もうくたくた!」
「ゆっくり休みな。それで、どれくらいここにいるんだい?」
「まだ決めてないの」
「そうかい。ここにいる間は、手伝いくらいしとくれよ。そしたらこっちはいくらでも居てもらってかまわないさ」
「もちろん! ありがとう。また世話になるね」
「はいよ。おかえり」
「ただいま」
 目尻の皺をくしゃっとさせて、女将はセシリアの肩をぽんと叩いた。暖かい掌を感じて、セシリアは深い安堵を覚えた。
 帰ってきたんだ。故郷に。

 女将と別れて階段を登る途中、ユーリが口を開いた。
「ずっといるつもりなのか?」
「ううん。いずれまた戻るつもりだけど」
「ふうん」
 セシリアは鍵を開け扉を開けると、明灯魔導器を点けた。
 そして早速軽装になり靴を脱ぐと、壁際に置かれたベッドに腰を下ろした。
「はあ、やっぱり自室は落ち着くわ」
「お疲れさん。なんか、そのまま寝ちまいそうだな」
「うーん」
 セシリアは否定するように唸ったが、瞼は重そうだった。今にも落ちそうな瞼を見て、ユーリは笑みを浮かべる。
「寝とけよ。話はまた明日でもできるしな」
「ううん。だいじょーぶ。ここ座りなよ」
 そう言ってセシリアは自分の隣をぽんぽんと叩いた。本人がそう言うならいいか、とユーリは言われたとおりセシリアの隣に身を沈めた。この様子では話の途中で寝るかもしれないが、そのときはそのときだ。そう決めて、ユーリは口を開く。
「……で? 何しに帰ってきたんだよ」
「何その聞き方。冷たーい」
「よく帰ってきてくれたな! すごく会いたかったんだぜ?」
「演技寒ーい」
「……お前眠いんだろ。寝ろよ」
「大丈夫だって言ってんじゃん」
 セシリアはベッドの上で姿勢を変えると、壁に寄りかかりユーリと向き合うようにした。ユーリも上半身を捻って片足をベッドに乗せ、セシリアに正面を向けた。
 折った膝を両腕で抱えて、セシリアは爪先を見つめながら訪ねた。
「騎士団、辞めたの?」
「……ああ」
「そっか」
 やっぱりなぁ、とセシリアは声の調子を変える。責める響きはどこにもない。ユーリは苦笑した。
「ユーリには騎士は無理だと思ってたのよねぇ。だらしないし」
「ひでぇな。これでも努力したんだぜ」
「努力してもどうにもならないことなんていくらでもあるもんねぇ」
「……まあ、な」
 膝頭の間から、セシリアは笑みを覗かせた。
「誰かに頭を下げるを良しとしない狼みたいな奴が、羊の群の中でうまくやっていけるわけがないのよ」
「そりゃまた、大層な喩えだな」
「素直に聞いときなさいよ」
「お前が素直って……後が怖えな」
 意地っ張りで見栄っ張りな彼女がユーリに対して素直になった例は、たいてい禄なものではなかった。
フレンや女将には大抵素直なものなのに、この差別はなんだ、と不満を感じることもあるが、立ち返って自分の姿を鑑みるに、似た者同士という言葉が浮かぶ。捻くれ具合が似たり寄ったりだった。
「それで? お前はどうなんだ? ギルドはどうしたよ」
「辞めちゃった」
「辞めちゃったって……なんだそりゃ」
 あっけらかんと笑ってみせるセシリアに、ユーリは大げさに溜息を吐いた。
「お前もかよ」
「否定はできないね、悔しいけど」
「悔しいも何もねえだろ。それで、帝都に帰ってきたってことか」
「うーん、まあ、そう」
「さっきは、また外に戻るって言ってただろ?」
「うん、そのつもり」
 そうは答えるが、目が泳いでいる。
「どうしたんだよ。結界の外が怖くなったのか?」
「そういうんじゃないけど」
「じゃあ、どういうんだ?」
「なんていうかね」
 説明がしづらいわ、と頬を膝頭に押しつけた。
 結界の外で、彼女は様々な経験をしただろう。この下町では見られないもの、会えない人、そして魔物。
 ユーリは帝都の他に町を知らない。結界の外には一度出たことがあったが、半日だけだ。彼女に比べてみれば出たうちに入らないのかも知れない。
 彼女の口を重くするものがなんなのか、今のユーリにはうまく想像できなかった。
 二年前、彼女がダングレストに旅立つあの日まで、幼馴染みである彼女の考えていることがわからないなんてことはほとんどなかった。
 もし彼女がギルドを選ばず、騎士団に共に所属していたなら、こんな風に彼女の心を靄が覆うことはなかっただろうに。
 少なくとも、彼女が悩むときは、自分が悩むときであり、同じ悩みについて一緒に考えることができたはずだ。
 それが、今では。
「騎士団はどうだった?」
「ん、そうだなぁ」
 セシリアの白い頬から目を反らし、天井を見上げた。騎士団にいた、短い、しかし自分にとっては十分な日々。
 ユーリは訥々と、当時のことを語った。
 胸に抱いた理想と、腐敗した現実との落差。
 誉れ高き騎士たちの、平民差別。堕落した貴族出身者。
 そこは帝国に潜む闇の縮図だった。
 希望を抱いて騎士団の門を潜ったユーリは、その三ヶ月後に除隊された。
「確かに、不良ね」
 セシリアの脳裏に、ハンクスの言葉が蘇っていた。
 まさか騎士団を辞めて、のみならず元仲間たちと追いかけっこをして遊ぶようになっているなんて想像もできなかったから、幼馴染の堕落ぶりに思わず溜息が零れた。
 想像していなかった、というのは自分の思い――ギルドのことや自身の欠点のことや――に囚われていて、幼馴染達の現状にまで思いを馳せられなかっただけに過ぎない。
 こうして空白の数年をどう過ごしていたか直接聞いてみれば、なるほど確かに彼らしいと頷けた。
 騎士団が肌に合わず飛び出してしまうこと。
 その後帝国への反発を燻らせながら、下町のためにという名目で無茶をやらかしてしまうこと。

 生まれたときから一緒に成長してきた肉親のような相手だ。
 彼が何を思い、何を選んできたかは、自分のことのように推し量ることができた。
 ユーリ自身が今の自分をどう捉えているかまで想像が及ぶころには、セシリアから呆れる気持ちもましてや怒る気持ちも昇華されてしまっていた。
 セシリアの呟いた言葉を気にしているらしいユーリに気づいて、セシリアはハンクスの願いを教えてやった。
「彼はあなたが下町で不良じみたことを繰り返すよりも、広い世界を知って欲しいそうよ」
「ははっ、厄介払いしたいってか」
 苦笑を漏らすユーリに笑い事じゃないわよ、とセシリアは怖い顔をしてみせる。しかしすぐに息を吐いて力を抜いてしまった。
「ね、どうなの? 騎士団は、続かなかったわけだし……」
 少し間を空けて、首を傾げ、ユーリの顔を覗き込む。
「外に出てみたいって、思わない?」
 直球に聞かれて、ユーリは答えあぐねながら目を逸らしてしまった。室内の明りを受けて煌いている視線をまともに受けてしまい、知らず頬に熱が集まる。そんな自分に気づかない振りをして、できるだけ余裕を持った態度で答えた。
「ここ、しょっちゅう今日みたいな事が起こるからさ。また誰かが貴族に苛められてるんじゃねえかって、気になって夜もおちおち眠れねえんだよな」
「あっそう」
 予想通りの答えに落胆して投げるように言うと、セシリアは身体を反らして壁に寄りかかった。
「……だから、あんまお前には帰ってきてほしくなかったんだけどな」
 自分の現状を振り返ると情けなくなってきて、自嘲するようなことを言ってしまった。
 セシリアはそんなユーリをきょとんとした目で見て、ふ、と微笑んだ。
「まあ、まさか騎士に追っかけられてるとは思わなかったから驚いたけどね」
「本当、あの時間を狙って帰ってきただろ」
「なわけないでしょ。でも、ユーリらしいよね」
「なんだよ、らしいって」
 布団に潜り込みながら、セシリアは言葉を探した。
「今日さ、騎士と久しぶりに追いかけっこして。ああ、まだバカやってるんだなって呆れたけどね、でも、楽しかった」
 ユーリは目を細めて、目の前の女性にかつての幼なじみの面影を重ねた。
 それは彼らにとって日常だった。
 正義感が強く、しかし生真面目というわけではなく。
 ただ自分たちが住みよい場所がほしいとやんちゃをして無理を重ねて来た。長じた今もその根本は変わらない。
 自分たちを育んでくれた下町の人々が、笑顔で暮らせる国を。
 それが、彼らの願いであり、そのために異なる道を選んだ。
「困ってる人がいたらほっとけない。……それが、私たちだったなぁって、思い出して」
 覚えてる? フレンと一緒に、さんざん騎士の手を焼いたこと。
 無力が悔しくて涙したこと。
 優しく人の良い下町の住人が、不当に搾取されることに怒りを覚えて、こんなの間違っている、間違いは正すべきだ、三人で力を合わせて変えていこう。
 そう誓ったことを。
「覚えてるさ」
 できないことを嘆くよりも、自分の目の前にある手の届く範囲からどうにかしていこうと、頭を寄せてアイディアを捻りだし、どうすればこの国が弱い者たちに優しくなるかを、夜通し考えた。
 あの頃に比べれば、できることは圧倒的に増えた。
 三人で知恵を絞って導き出した答えを応用し、ときに新しい発想を一人で思いつき、問題を解決していくようになった。
 その反面、ぶつかる壁は次第に高さと厚さを増していった。
 隣に居た二人は騎士団に残り、ギルドに旅立ち、お前ならどうする、と心の中で問うても答えは得られなくなった。
 昼間の大立ち回りには一人欠けていたけれど、懐かしいあの頃に戻ったようだった。
「大抵俺が囮で、お前が攪乱役で、フレンは救出役だったっけな」
「そうそう。ユーリが騒ぎを起こして、私が気を逸らしてる間に、フレンが行動を起こす、っていうパターンが多かったね」
「思えば、結構やらかしたよなぁ」
「ユーリは加減を知らないもの」
「まるで自分には責任がないって言い種だな」
 無茶してたのは誰かさんも同じだったがなぁ、と茶化すユーリに、セシリアはあくまでとぼけてみせた。
 あれから、まだ二年しか経っていない。
 揚々と歩き出した道のりを、踏み出したばかりで躓いてしまった。
「……あんときは、とにかく目の前に起きるいやなこと、片っ端から叩っ切れば悪いもんはなくなるって、思ってたんだよな」
「そんなこと思ってたの? 単純」
「お前もそうだろ」
「ま、ね」
 セシリアはあっさりとそれを認めた。
 世界が狭かった頃は、目に映るものがすべてだった。そこにある悪さえなくなればいいんだと、そう思っていた。
「でも、そんなわけがないんだよな。頼りになるはずの騎士団は腐ってる、国を動かしてる評議会に平民は口を出せない……」
「だから、私は違う道を……ギルドを選んだ」
「ギルドは、どうだったんだ?」
「うん」
 セシリアはゆっくりと、言葉を選びながら話し始めた。
「ギルドって言っても、本当にいろんな仕事があった。運送や、護衛や、雑用なんかを受け持つギルドもあった。本当にいろいろな人種が集まっているの」
「へえ」
「みんな帝国をよく思っていなくて、その恩恵を自ら拒否して自分たちだけの国を作ろうとしてる」
 セシリアはいくつものギルドを渡り歩いた。
 そこで、様々な事情を目にしてきた。
「そういう気質はすごくいいなって思ったの。私が求めてるものはやっぱりここにあるんだって」
 ぼんやりと手のひらを見つめて、ぎゅ、と握りしめる。
「……でも、ギルドもいい人ばかりじゃなくて……貴族とはまた違う、嫌なことがたくさんあった」
「それで?」
「それで、ギルドの中で、自分の居場所を見失ってしまって……。飛び出しちゃった。……それだけじゃないけど」
「……そっか」
 セシリアの言葉を一つ一つ噛みしめるようにして聞いていたユーリは、ぽつりと、それだけを言った。
 しばらく彼女が続きを話すのを待っていたが、どうもこれで終わりのようだと悟り、さて、とユーリは気持ちを切り替えるように膝を叩いた。
「んじゃ、そろそろ寝るかな。お前も疲れてるだろうし」
「ううん。……話せて良かったよ」
 薄闇の中、彼女の大きな瞳が撓み、唇が安堵に緩んだ。
 話をしたことで彼女の心を塞いでいたものが軽くなり、心持が良くなったのだろう。眠そうな表情は、安らいでいて無防備だ。
 それはなんでもない表情のはずなのに、今まで彼が見知っていた女とは別人のように見えた。
 身体の奥で、何かが弾けた奇妙な感覚。
 焦燥にも似たその何かを、自分でも見極められず戸惑いながら、笑顔で押し殺した。
「……俺もだ。おやすみ」
「おやすみ」
 ユーリは扉を閉めかけて、ふと止める。明かりが消えて、セシリアが布団に丸まるのが影になって見えた。なるべく音がしないように、静かに戸を閉める。
 ふと見ると、ラピードがいた。散歩から帰ってきたところらしい。ラピードはユーリが気がつくと尻尾を振った。
「遅かったな。お帰り」
 ユーリが扉を開けると、ラピードは隙間からするりと部屋に入った。ユーリは明かりをつけず、そのままベッドに仰向けになった。
「なあ、ラピード」
 視界の端で、尻尾がふわふわ移動し、床に寝転んだ気配がすると見えなくなった。
「お前の目には、セシリアはどう見えた?」
「ワフ」
「はは、まだ様子見ってか。でも、きっとお前も気に入ると思うぜ」
「クゥン」
「だろ? なんか悩んでる風だったけど、数日下町を駆け回ればすっかり元気になるさ。脳天気な奴だから」
「ウ〜……」
 そのうなり声は暢気なユーリを諫めるような音だった。
 組んだ腕に乗せていた頭をちょっともたげて、床に丸まっているラピードを探す。
「そうか? でも、あいつは強いやつだからなぁ。俺が手を貸そうとしたときには、悠々と乗り越えて先に立ってるような奴なんだぜ?」
「ワウ」
「励ますって柄じゃねぇしな。どうせ、ここにいたら悩む暇もないさ。だろ?」
「ワン」
 同意するようなラピードの鳴き声に満足して、ユーリは目を閉じた。
 そして、明日からの、彼女が隣にいる日々を思う。
「……面白くなりそうだ」
prev * 4/72 * next