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僕らの軌跡を繋いでいこう
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宇宙はどこまでも広がり、果てなどないように思われた。
「クリスタル、見たことあるか」
レイがふいに口を開いた。
ラキは星明かりの眩しさに一瞬眼を細め、頷いた。
「運んだことあるよ」
「違えよ。掘り出されたばっかのヤツ」
それはない、とラキは肩を竦めた。
「その中にカードが封じられてるんでしょ」
「ああ。俺はいくつもクリスタルを探し出し、マジダチに出会った」
レイはカードのことをマジダチと読んで憚らない。
高価なカードもそうでないものも、彼にとってはすべてマジダチになるわけだ。
「これからも、もっと探すんだ」
ラキはクリスタルを求めてひたすらに、後ろを振り返ることなく銀河の先へ先へと突き進んでいく彼の後ろ姿を思い描いてみた。その背中ははっきりと想像することができた。
「ここはまだ第一階層だ。宇宙はもっと高く、ずっと広い」
レイは見えない道を指すように、手のひらを窓に翳す。
「第一階層にはないような惑星が、この先にあるんだろうね」
ラキも真似して手を伸ばす。届きやしない幻のような満天の星空に、指を広げる。指と指の隙間から、星々の光がちらちらと瞬いて、ラキの手からすり抜けていく。
「見たこともないようなカード、そしてバトラーに、俺は会いに行く」
「レイより強い人もいるかもね」
「それはないな。なぜなら」
「銀河で一番強い! から」
「……そーそれ。その通りッ!」
台詞を取られたレイはむっとしたものの、自棄気味に叫んだ。ラキは声を立てずに笑った。
「そしてお前も、一番だ」
レイはまっすぐに立てた人差し指を、ラキの鼻に当てた。
ラキはレイを見つめ返す。
一番の男が認めた女。
「どこの宇宙にいこうが、それはぜってえ変わらねえ」
「君が一番星として輝く限り」
二人は眼を閉じ、額を押し付けあった。
レイの二の腕に頭を乗せていたラキは、レイの方へ身を寄せて、肩から鎖骨に掛かるあたりに頬を擦る。
レイはしばし眼を閉じて、ラキが落ち着くのを待った。長い髪はシーツの上に散らばって、絡み合っている。
「私も走り続けるよ」
誰よりも速く、どこまでも遠く。
誰にも追いつけないくらいに。
この宇宙を駆けつづける。
レイはそっと眼を開いた。
肩にあるラキの頭に腕枕をしている方の手で物憂げに触れ、髪を撫でる。指に髪を絡め、梳いてやる。
ラキはもう一度眼を閉じた。
この一夜だけ、寄り添っていよう。
魂の松明に灯された火が簡単には消えぬような大きな炎となるように、触れた肌のぬくもりを記憶に刻む。
移されたばかりの火種はまだ小さい。風から守ってくれる大樹からまもなく離れなければならないとしても、かき消されることはない。
レイの腕がラキの頭を抱き込む。ラキはレイの胸元に頬を押し付ける。聞こえてくる鼓動の音が心地よかった。バラバラに鳴っていた二つの鼓動が、寄り添ううちに足並みを揃えていくのがわかるようだった。
ラキは流れる血液の音に耳を傾ける。
旅の終着点は、目前だった。
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