宇宙で男は邪魔なだけ
「暁の星……。義理堅いのね」
エリスがボンバーと戦っていたのは、クリスタルをレイに渡すためだった。もし負けたら、ボンバーの嫁にされていたというのに。
エリスは不敵に微笑んだ。
「カードクエスターのリリー。名前は聞いている。だがある時を境に、まったくバトルをしなくなったというが……。その男に会ったからだな」
エリスはそう言うと、表情を険しくしてレイを睨む。
「お前ほどの者がバトルよりも男を選ぶとは、残念だ」
「エリス様……」
ライラはエリスの厳しい言葉に、眉を曇らせる。
しかしリリーは微笑みを返した。
「いいえ、エリス。私はバトルを捨ててはいないわ。機会があれば、いつでもキースピリットをお見せしてあげる」
そう言ってレイと目を交わす。レイはリリーの幸せに満ちた微笑みを見て、力強く頷き返した。
「それから、宇宙で男が邪魔だなんてことはないわ。あなたはまだ出会っていないだけ。キースピリットと同じくらい心を預けられる存在にね」
「……ふ。手合わせするときを楽しみにしていよう。ではな」
エリスは睦まじい二人の姿を一瞥するに止め、去っていった。レイはリリーの手をきゅっと握りしめた。
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