月は満ちたり、想いのように

猛った熱を全て身体の中に納めるのにはかなりの時間がかかった。

「上手にできたな」

「・・・ふ、うっーーはい・・・」

苦しげに眉を寄せて瞬くイオルの唇にフィウゼーヌは何度も労るように自分の唇を捧げた。

交わった部分から熱が溢れてじんわりと二人の身体を温める。

先に我慢できなくなったのはフィウゼーヌだ。

腰を上げて、身体の上のイオルを揺らす。

「あ、ーハ、アっ!・・・んん」

繋がった箇所からの振動で、息を荒くしていくイオル。

「イオル、っー・・・動いてごらん」

こちらも乱れた息のフィウゼーヌに促されて、腰をくねらせて快感に身を任せた。

「アッー、ああっ・・・んっーー、フィウゼーヌさまっ・・・」

身体を持ち上げたり、前後左右に揺らしながら激しく腰を振ると、自分の中にあるフィウゼーヌの容貌がよく分かる。

温度と、硬度と先端部の湿度。

確かめるように身体の中に擦りつけると、自分の陰部も物欲しそうに揺れた。

触れて欲しいと訴える前にフィウゼーヌの指が絡んできて、イオルは快感に涙を滲ませる。

「ン、ふうっ・・・あ、あ、アっーーはぁ・・・!」

高い水音が恥部から響いても、恥ずかしさより恍惚が勝った。

「イオル・・・っ、上手だ。・・・とても気持ちいいよ、ーーっつ・・・!」

悩ましげな表情のフィウゼーヌに褒められて、歓喜に震える。

身体が自分ものでなくなったように震えが止まらなかった。

「フィウゼーヌさま・・・!んんっ、ぼく、ああっーー、もう、っつーーあ、!」

フィウゼーヌの背に腕を回して、体に食い込む程爪を立てる。

血が滲んでいるのに気づかずに、二条も三条も痕をのこしてしまった。






窓際のソファから寝台に移って、もう一度体を重ねた後、フィウゼーヌはすぐに寝入ってしまった。

遅くまで所用で出ていたのだからそうなっても仕方がない。

イオルがつけた背中の痕に触れても、安らかな寝息を立てたままだ。


赤く滲んだ背中の傷に縋るようにして、イオルはフィウゼーヌの横で身体を丸めて眠りについた。




満月が、窓の向こうで山際に消えようとしていた。



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