月は満ちたり、想いのように

「こちらはどうかな」

フィウゼーヌの手がイオルの尻を這って、熱を点された体が膝の上でしなる。

「イオル。自分で脱いでごらん」

瞳の奥の深緑を恥じらいに染めて、イオルはゆっくりと自分の衣に手をかけた。

震える指が一枚一枚衣を剥ぎ取ってゆくのを見つめるフィウゼーヌの眼差しは、美しい絵画を愛でているように優しい。

衣の下に隠されていた三日月の痣を、いつものように指で形を確かめてから舌でなぞる。

湿った舌の温かさに吐息を漏らして、イオルはフィウゼーヌの膝の上で裸体を晒した。

「あ、ーハっ・・・ん。フィウゼーヌさま・・・」

愛撫で淡く染まった箇所を、尚も激しくフィウゼーヌの唇が滑っていく。

下肢の間でゆうらりと勃ちあがったイオル自身が涙を零して快感を訴えていた。

フィウゼーヌはイオルの首を吸いながら、二本の指を小さな口元へ。

意を得て中指と人差し指にしゃぶりつくようにして、イオルはたっぷりと唾液を絡めた。

音を立ててフィウゼーヌの指を舐めていると、それだけでイオルの身体は反応してしまう。

はしたない自分の恥部に濡れた指が伸びてきて、中を探られれば、それだけで達してしまいそうだった。

「あー、っ!ん、う・・・、ダメですっー・・・フィウゼーヌさまぁっー」

「ここはまだ、刺激に弱いな」

巧みな指先が身体の中で蠢く。

まるで自分の身体が竪琴になってしまったようだとイオルは思った。

秘部の浅い所を爪弾かれれば、低い音。

弄ぶように深い場所を震わせられると、高い音が奏でられる。

甘い調べと吐息に酔って、奥に感じる指先には、気付かぬうちに白く濁った熱が零れた。

「ーっあ!すみません、ぼく・・・」

服に零れたイオルの精に奏者は満足げに笑う。

「我慢できずにわたしにかけてしまう程、気持ちよかったか」

「・・・はい。申し訳ありません。汚してしまって」

頬を染めてフィウゼーヌの衣に手を伸ばすイオル。

「洗っておきますから」

「あとで、な。それより先にこちらをどうにかしないと」

汚れた衣をイオルを膝の上に乗せたまま器用に脱ぎ捨てて、フィウゼーヌも身体を露わにする。

程よく鍛えられた肉体は実年齢よりも若く見せた。

逞しい陰部を軽く扱いて潤ませると、イオルの腰を持ち上げて手を添えた。

「ー、ん・・・!」

張り詰めたフィウゼーヌを包み込むようにゆっくりと腰を下ろすイオル。



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