甘露

表情の乏しい唇で小さく笑んで、今度は従者が主に問う。

「足を、女官には触らせなかったのですね」

「だって…見られたら恥ずかしいから」

丈の長い寝間着は、座っていてもセヴィの膝が隠れるくらいにある。

ディーが濡れた手で裾を捲り上げると、膝の上には紫色の痕。

正確には腿の内側に、しかもそれは一つや二つではない。

「ディーが、いっぱい痕つけるから…」

「セヴィ様が気持ち良さそうだったので、つい」

濡れた指が、内股に食い込む。

く、と力をかけて触れると容易く脚は開かれた。

大事な部分にだけガウンの裾がかかって、悩ましげにディーを誘う。

昨夜ベッドで繰り広げられた情事をなぞるように、紫色の痕に舌を這わせた。

「ん……ディー、だめ」

セヴィの言葉自体は行為を否定していたが、語気にはそんな雰囲気は微塵もない。

寧ろ、ディーの唇を奨励するように浅い息を繰り返している。

音を立てて膝に口付けたかと思えば、湿った舌と唇で情事の痕をなぞる。

そんな風に緩やかな刺激でも、薄い布の下でセヴィの欲望は育ちつつあった。

「ンっ、ぁ…ディー…も、やぁ…!」

核心には触れない唇に焦れて、セヴィは自らガウンの腰紐を解いた。

僅かに張り詰めた自身を露わにして、甘えた声でディーの名を呼ぶ。

「ディー…。も、…舐めて…ぇ」

主の願いを聞くが早いか、ディーは目の前で揺れる雄蕊に舌を這わせた。

「は…ァ、ん…、ぁっ、ぅ、ン―」

瞳は、主を見上げたまま。

濡れた舌と唇に翻弄されて嬌声をあげるセヴィの瞳を射抜いた。



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