三日月を抱いて眠れ

人差し指と中指で三日月の先端、胸元に触れる。

「ぁ…あまり、見ないで下さい…」

イオルの声に従う事なく、フィウゼーヌは人差し指と中指で痣の縁をなぞった。

「お願いです…。見ないで…!」

痣を隠すようにイオルがシーツを手繰り寄せる。

フィウゼーヌは、眉間に皺を寄せた少年を宥めるように別の場所へ指を這わせた。

「なぜ、そんなに嫌がる?」

「だって…。醜いでしょう?こんな…」

自分の身体を抱きしめるようにするイオルの仕草は、ハープを弾く時の姿にも通じるものがある。

けれどその表情は歌っている時とは逆に曇って、今にも泣き出しそうだ。

「三日月。これが、名前の由来だろう?」

シーツの下に指を潜り込ませて涙の滲んだ深緑を見つめる。

不思議そうに黙り込んだイオルに、優しく囁いた。

「イウェ・ウォル。……古い言葉で『三日月』という意味だ」

フィウゼーヌの低い声に、イオルは目を見開く。

「知らなかったのか」

「…はい」

頷いたイオルの手を掴み、露わになった三日月に口付けるフィウゼーヌ。

甘い声をあげて、今度はその行為を咎めることはしなかった。



胸の三日月。
白い脚。

イオルの体中に口付けて、優しく愛撫を与える。

「…こちらの音色も、聴かせてもらおう」

囁くように言って、フィウゼーヌがイオルの中心に手を伸ばす。

覚え立ての艶やかな声で、イオルもそれに応えた。



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