日曜日の朝

目を開けると、目の前に恋人の顔があった。

いつもは、僕の方が先に寝て、目覚めるのは遅い。

だから、彼の寝顔を見るのは初めてだ。

まさに、目と鼻の先の距離。

キスしたり、それ以上の事だってしてるのに、このドキドキは何だろう?

耳まで熱くなって、唇が震える感覚に襲われる。

何とか鼓動を落ち着かせて、彼の寝顔を観察してみることにした。



規則正しく息を吸って、吐くのを繰り返す口。

閉じられた瞼を縁取る、黒く艶やかなまつ毛。

きりっとした、成人男性らしい精悍な鼻筋。

ほどよく日に焼けた、薄い褐色の肌。

そのすべてが、彼の美しさを雄弁に語っている。




僕は不思議になる。

寝顔を見ているだけで、こんなにドキドキするのに。

どうやっていつもキスしたり、戯れあったりできるんだろう?

そう考えてしまうと、ドキドキは激しくなるばかりで。

もう、十分うるさいくらい。

なのに、彼が目を開けたから。

世界中に、僕のドキドキが聞こえてしまうんじゃないか、と思った。


「おはよう……顔が赤いよ…?」

赤面している僕を見て、そう言う彼に

「な、なんでもないよ」

と、僕。



あなたに、ドキドキしているからです。



なんて、言えるはずもない。

彼の顔をこれ以上見ていたら、心臓が破裂してしまう。

そう思って、シーツを頭の上まで引っ張って、顔を覆った。

そうしたら。

シーツごと、彼の腕に抱き締められた。

恥ずかしくてたまらない。

でも、心地いい。

そんな朝のひとときを、彼も僕と同じように感じてくれているんだろうか?

幸せな、幸せな
日曜日の朝。





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