Lovely Baby!

あなたは 僕の 心を 乱す。




「なちくんっ、いつの間に出勤してたのぉっ!?」

倉庫で備品整理をしていたら、勢いよくドアを開けて喜一さんが乱入してきた。

「あ、お疲れさまです」

ペンを持った手で眼鏡をなおしながら、いつも通りに返事をする。

息をきらせた喜一さんは真横に立って、俺を睨み付けてくる。

「いつ、来たの」

「二十分くらい前?です」

「何で、声かけてくれなかったの」

「来てすぐ店長に倉庫に行けってチェック表、渡されたので」

そのチェック表と段ボールの山に目を向けたまま、素っ気なく答える。

喜一さんは、俺を睨み付けながら黙って。

「………」

しばらくして、口を開いた。

「なちくん……」

「何ですか?」

「僕たち、恋人同士、なんだよね…?」

「はい。喜一さんは、俺の彼女です」

「なちくんが、僕の彼女でしょっ!!!」

「まぁ、どっちがどっちでもいいんですけど」

「……それにしては、僕たち恋人っぽいことしてなくなぁい?」

突然、何を言うんだろうかこの人は。

「…したいんですか?」

「べ!!…別にっ!!!ただ、ちょっと、お、思っただけ…」

唇を尖らせながら言う喜一さんの表情は、可愛らしい。

「…しますか?」

「え?」

俺の方を向いた喜一さんは、少し驚いたような顔をしている。

「恋人っぽい、コト」

言いながら、眼鏡をとって。
喜一さんの細い肩に、手をかける。

ゆっくりと顔を近付けて、

「なちく、…」


キスを、した。


「…ん、っ……ぅ…」

みなさん、聞きました?

「ぅ」って言いましたこの人。
「ぅ」って。


本当に…可愛い、人。


唇を離して、喜一さんの潤んだ瞳を見つめる。

「…顔、赤いですよ」

「そ、そんなことないもん…」

「じゃあ、もう一回」

「!!」


今度は、赤くなった喜一さんの頬に、音を立てて口づけをした。



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