青い繭の中

大好きな君と、シーツの海でじゃれ合って。

その、翌朝。





窓の外から差し込む光が、目に痛い。

瞼の裏にしみて、目を開けずにはいられない。


しぱ、しぱ。


瞬きをすると、涙が滲むのが分かる。


しぱ、しぱ、しぱ。


何度か瞬いて横に目を向けると、隣には、高校生男子一人分の山ができていた。


シーツをこれでもかと体に巻きつけて、繭のように眠るのが俺の愛しの恋人、陽[よう]ちゃんのクセだ。

繭から糸を紡ぐように、ゆっくりとブルーのシーツを手繰り寄せる。

「よーうちゃーん。朝ですよ〜」

幼子をあやすように、目覚めの言葉をかけると、返ってくるのは可愛らしいうめき声。

「ぅ、んー……」

「ようちゃーん、起きてー?」

シーツの端をぎゅうっと握りしめて離さない陽ちゃんに、更に声を大きくして呼びかけるが、返ってきた言葉はまさに幼子のようだった。

「………もぉ、ちょっと」

目を閉じたまま、唇だけ動かして、かわいいことを言ってくれる恋人に俺は何だかムラムラしてしまった。

朝だししょうがない、と自分に言い聞かせて、カーテン越しの日差しに光る陽ちゃんの白い頬を撫でる。
いただきます、と行儀よく朝ご飯でも食べるかのように心の中で合掌したあと。

「起きないなら、ちゅーするから」

ふざけたような声で、至って真面目に言う。



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