かわらないもの

小さい頃から、背が低かった。

顔も女の子みたいで、体も弱かった。

そのせいでいじめられていた僕を守ってくれたのは、いつも君だった。


****


「お前、ホントは女なんだろ」

「男子更衣室にはオトコしか入れないんでちゅよー?」

「ギャハハ!!そうでちゅよー!!」

「女か男か、確かめてやろうぜ」

更衣室っていうものは、自分で服を着替えるところであって、他人に服を脱がされるところではないと思う。

「やめてよ!!…やだっ!!」

そうは言っても、僕の小さい体では、このいじめっ子達には敵わない。

しかも、相手は三人だ。

「おらー!!下も脱がせろっ!!」

すでに彼らの手によって、Tシャツは脱がされた。

「や!!…やだぁっ……」

ズボンに手がかかったその時。

「おいっ!!」

更衣室のドアが開いて、一筋の光。

「旭をいじめるな!!」


****


「大丈夫か?」

いじめっ子達が去ったあと、脱がされた服を拾ってくれる。

そして差し出される、大きな手。

「ん。立てよ」

放心して、その手をとれずにいたら、見かねて立たせてくれて、服まで着せてくれた。

「…大丈夫か?」

「うん…だいじょうぶ」

「そか…ところで昼休みなのに何で更衣室に来てたんだ?」

「…いつも、着替えてる時からかわれるから…昼休みのうちに着替えておこうと思って」

「それなら、俺も一緒に来たのに。何で一人で来たんだよ?」

「だって、」

だって、いつも守ってもらってばかりだもの。

迷惑、かけてばかりだもの。

「今度からは、黙って来るなよ!!」

その優しい言葉にいつまで甘えることができるんだろう。

「うん…ありがとう。晃歩くん」

差し出された手を、今度はしっかりと握った。



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