恋愛方程式 U

プルルルル…
プルルルル…
プルルルル…
プルルっ

「もしもしっ!!せんっ…、…か、かずき…?」

夜、翔の携帯に電話をした。

先生、と言いかけて、慌てて言い直すのが可愛い。
しかも、俺の名前を呼ぶのが恥ずかしそうだ。

「もしもし、いま大丈夫か?」

「うん。どうしたの?電話なんて珍しいね」

「米原先生の事、心配ないからって言おうと思って」

「え!?心配ないって…?えーっと…ばらしちゃったの?」

「……んー?」

「先生?ぁ、…かずき?」

また、言い直してる。
思わずくすり、と笑いが漏れた。

「ばらしたと言うか…まぁ、ばれた事には間違いないんだが」

「大丈夫なの?」

「ああ」

「ホントに?」

「大丈夫だから、安心しろ」

「うん、分かった」

「ん。じゃあこの話は終わりな」

「はぁい…ふふっ」

「どうした?」

電話の向こうから笑う声が聞こえてきて、反射的に聞いてしまう。

「え〜っとねぇ…電話で話すのあんまりないから…は、恥ずかしいね?」

きっと携帯を手にして、真っ赤になって。

「翔、今、正座してるだろ?」

「え!?…うん。何で分かるの?せ、かずきどっかで見てる?」

「見てない。何となく」

人と電話で話して、こんな風に笑ったことがあっただろうか?


その夜は、翔が眠くなるまで話をした。

初めての長電話だった。



***



隠し通せるのなら、一生ふたりだけの秘密にしたい。

それが、無理ならば。


誰の前でも可愛がって、たくさんの人に祝福されたい。


翔が、いつでも笑顔でいられるように。



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