Key

激しい唇にすべてを忘れてしまいそうになったその時、

「っ、あ…」

服の中に侵入してくる泉の手に、一気に頭が冷えた。
まさか、こんなところで…?

「ぃ、ずみ、ちょっ」

だって、ここは玄関だ。
こんな薄い扉一枚では、きっと外に声が聴こえてしまう。

「ゃめ、…ぅ、わ!!」

泉の唇が首に吸い付いてきて、思わず大きな声をあげてしまった。

「っく、いずみ!!」

強く名前を呼んで、泉の肩を押すが、唇も手も止まらない。

「ん、ァっ…」

寒さからか、キスの快感からか、硬くなった胸の突起を親指でこすられる。

「は、泉…っ…ン、ぁ」

痺れるような感覚が体を襲って、声が出てしまう。

「ぁ…アッ、いず、みっ!!っ…待て、って!!」

やっと泉の手が止まる。

「何で」

不満げな声で聞いてくる泉。

「何でって…ここ玄関だし。それに俺、泉に言わないといけないことが…」

「今すぐ言わないといけないほど、重要なことか?」

「え?」

「俺たちの生死に関わるような重要なことなのか?」

「生死って…」

俺にとってはすごく重要だ。
けれど、生死に関わる問題じゃない。
でも、

「そうじゃないなら、後でいい」

「は?…って、ぅわ!!」

考えがまとまらないうちに泉の手が俺の服を脱がし始めた。

「泉!!ちょっと」

「あとでちゃんと聞くから、おとなしくしてなさい」

諭すような、けれど少し熱っぽい声に、黙るしかなかった。


ジャケットを脱がされ、トレーナーをぐいっと捲られる。
そうして露になった肌に、泉が体を屈めて舌を這わせてきた。

「んっ!!…ぅ、っ…」

肋骨のくぼみから、鳩尾へ。
そこから、臍の少し下へ。

「…ァっ……ぁ、あっ」

快感が、背筋を駆け上がる。


俺の肌に口づけながらコートを脱ぐ泉の仕草さえも、艶めいて見えてしまう。

舌が、臍から一気に心臓の位置までを這う。

「ん、ぁアっ」

硬く尖った胸の突起に泉の舌が絡まる。
待ちわびていたその感覚に頭をくらくらさせながら、必死に泉の首に腕を回した。

「ァ、や、…っ…あっ」

くちゅくちゅと泉の唇が鳴る音に、声が止められない。



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