かわらないもの

あれから、五年。
僕らは高校生になった。

僕は相変わらず小さくて、女顔で、体が弱い。
そして、相変わらず僕の隣にはいつも晃歩がいる。

晃歩は少し、変わった。
背がすごく伸びたし、体も大きくなった。
でも、外見が変わっただけで、僕に優しいのは変わらない。
大きく変わったのは、晃歩に対する僕の気持ち。


僕は、晃歩に恋をしている。


男が男を好きになるなんて!!って、悩んだ時もあったけど。
そんなの、もうどうでもいい。
だって、仕方がないんだ。
誰が何と言おうと、好きなんだ……。

「あーきーほー!!」

昼休みになると、お弁当を持って晃歩のクラス、三組に行く。
晃歩はだいたい、自分の席に座って友達に囲まれている。
みんないい人で、他クラスの僕が来ても嫌な顔しないで一緒にご飯を食べてくれるんだ。

しかも、

「晃歩はいいよなぁ〜。旭ちゃんみたいな、かわいい彼女がいて〜」

「僕、男だよ」

「でもカワイイじゃん。まじで、アキホがうらやましいよな」

「よなぁ。もうすぐ春休みなのに俺ら彼女いなくて淋しいわぁ…」

こんな風に、僕を晃歩の恋人扱いしてくれる。
ホントは違うし、冗談だって分かってるけどね。
それでも、嬉しい。

「お前らががっついて見えるから、女子も寄って来ないんじゃないの?」

お弁当を食べ終えて、買っていたパンを頬ばりながら、晃歩が言った何気ない一言が彼らの逆鱗に触れた。

「ひ、ひでぇ〜!!俺らのどこががっついてんだよ〜っ!!」

「そうだ!!そうだー!!アキホだってがっついてるだろ!!」

「え?晃歩が、何にがっついてるの?」

不思議に思って、僕がそう聞いたとたんに晃歩の顔色が変わった。

「おい、やめろよ」

「いーや、やめないね。今のはちょっとムカついたもんね。アサヒちゃん、実はね」

「やめろって!!」

晃歩が食べかけのパンを投げつけてひとりは黙る。
けれど、あとのふたりはやめようとしない。

「実は〜」

「おい!!」

「晃歩さぁ、告白されたんだよ」


頭が、真っ白になった。


「え…?」

驚いて、何も言えずにいる僕に彼らは次々に言葉を投げる。

「今朝さぁ、一組の女の子達が何人かでドアの前にいるから誰待ってんのかなぁ?って思ったら、晃歩が来たらかけ寄って行ってさぁ」

「そ〜、そ〜。で、そのうちのひとりが顔真っ赤にしながら晃歩に何か言ってんのね〜」

「その女の子ってのが、一組のカトウさんって言って、結構カワイイんだよね!!」

聞きたくもない、言葉を。




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