かわらないもの
小さい頃から、背が低かった。
顔も女の子みたいで、体も弱かった。
そのせいでいじめられていた僕を守ってくれたのは、いつも君だった。
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「お前、ホントは女なんだろ」
「男子更衣室にはオトコしか入れないんでちゅよー?」
「ギャハハ!!そうでちゅよー!!」
「女か男か、確かめてやろうぜ」
更衣室っていうものは、自分で服を着替えるところであって、他人に服を脱がされるところではないと思う。
「やめてよ!!…やだっ!!」
そうは言っても、僕の小さい体では、このいじめっ子達には敵わない。
しかも、相手は三人だ。
「おらー!!下も脱がせろっ!!」
すでに彼らの手によって、Tシャツは脱がされた。
「や!!…やだぁっ……」
ズボンに手がかかったその時。
「おいっ!!」
更衣室のドアが開いて、一筋の光。
「旭をいじめるな!!」
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「大丈夫か?」
いじめっ子達が去ったあと、脱がされた服を拾ってくれる。
そして差し出される、大きな手。
「ん。立てよ」
放心して、その手をとれずにいたら、見かねて立たせてくれて、服まで着せてくれた。
「…大丈夫か?」
「うん…だいじょうぶ」
「そか…ところで昼休みなのに何で更衣室に来てたんだ?」
「…いつも、着替えてる時からかわれるから…昼休みのうちに着替えておこうと思って」
「それなら、俺も一緒に来たのに。何で一人で来たんだよ?」
「だって、」
だって、いつも守ってもらってばかりだもの。
迷惑、かけてばかりだもの。
「今度からは、黙って来るなよ!!」
その優しい言葉にいつまで甘えることができるんだろう。
「うん…ありがとう。晃歩くん」
差し出された手を、今度はしっかりと握った。
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