みつばちとキス

「どうしたの?」

柔らかな声に、昌也の心臓が跳ねる。

「…舌、噛んだ」

うー、と小さく唸って目を瞑る昌也の手を、爽真がそっと口から離す。

――手、が。

触れられた指先が熱い。
じわ、と背中に汗が滲むのを感じた。

「口、開けて。見せてごらん」

「…っ!」

ほら、と両頬を爽真の手に包まれると、昌也は言われるままにするしかなかった。

「血が出てる。痛い?」

――顔、近いぃっ!

最早噛んでしまった舌よりも。
痛いのは、爽真に触れられてばくばくと響く鼓動。

熱い、痛い。

けれど。

この上なく、嬉しい。


そんな想いを隠せずにいる昌也に、爽真も衝動を感じた。

「…昌也くん、そんな顔されると、勘違いしちゃうよ」

「ふ、ぇ…?」

舌を出したまま、爆発しそうな心と頭で、昌也は何とか返事をする。

「それとも、勘違いじゃないのかな」

ゆっくりと、近づいてくる爽真の顔。


血の滲む昌也の舌に、爽真は自分の舌を重ねる。

小さく濡れた音がして、二人から距離が消えた。

突然の深いキスに昌也の体が跳ねる。

――何これ、何で…!?

舌を擦り合わせるようにして、口の中で爽真の舌がうごめく。


何が起こっているのか理解できた頃には、昌也は爽真の舌に虜になっていた。

――口の中、あっつい。気持ちイイよぉ…。爽真さんの舌、エッチだ…。

嫌がる素振りを見せないので、爽真は遠慮なしに昌也の唇を貪る。

絡めた舌を解いて、一度唇を離したかと思えば、違う角度で舌を侵入させる。

「ン…、ふ…ぅ」

昌也の小さな喘ぎが漏れると、それすらも飲み込むように強く舌を吸い上げ、食む。

舌先で上顎をなぞると、昌也の手が爽真の服の背中をぎゅっと握った。

――ぅ、わあ。何コレ。やばいっ…!ちんこ起っちゃう…!

口の中を、体を襲う始めての快感に昌也の雄は反応する。



←[*] 3/4 [#]→
目次へ

MAIN
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -