アイ・ノウ

精神〔こころ〕をはかる、物差しはない。

友愛、嫌悪、同情、嫉妬。

そして、愛情。


不確かなものだからこそ俺は、俺達は。

肉体〔からだ〕を繋げることを覚えたのかもしれない。





耳の後ろから、聞いたこともないような、荒い息遣いが聞こえる。

「っ…は、…カズマ、ちょっとココ、緩めてくんね?…キツいんだけど」

背中に覆い被さりながら、自分勝手なことを言うコイツは、俺の親友です。

「ん、な…ムチャゆーな…ッ、ふ…」

口では抵抗するけれど、俺はいっぱいいっぱいなんだ。

何故なら。

「コレじゃ動けねーし。チンコちぎれそうなんだけど」

「…!バカっ…おま、っぁ、」

まさに今。
初体験の真っ最中だからです。


本来は出す目的にしか使われない所に、親友のチンコをくわえ込んで。

正直、何やってんだ、と思う。
だいたいただのAV鑑賞会のハズだったのに。

親友にその気になる、ユウヤの気持ちもよく分からない。

――俺に、分かることと言えば。



「ケツがダメなら、こっち?」

しょうがない、とでもいうように、ユウヤの指が萎えかけていた俺のペニスを扱く。

さっき出したばかりの精液がにちゅにちゅと音を立てて、ユウヤの指が滑るのを助ける。

馴染みのある前への刺激には、本能も正直だ。

「ん…!、ぁ、っ、ッ…ァ!」

――他人に体を触られるのが、自分で触るよりも、百倍キモチイイってことだけ。


「お?いい感じだな…動くぞ」

「え!?まだ、待っ…ぅ、わぁ!!」

ユウヤが腰を引いたせいで、体の中に隙間ができたような気がした。

ぞわ、と背中の産毛が逆立つような感覚がして。

「色気のない声出すなよ」

「だっ…ムリ、ちょっ、ユウヤ、まじ待、て…っ、」

「大丈夫だって、ちゃんと指でほぐしたんだから。チンコも触ってやるし」

ほら、とペニスを包んだユウヤの指が上下に動く。

同時に、中にできた隙間を音をたてて埋められた。

「――!、ァ、…ん…ハァっ」

卑猥な音と、信じられないような衝撃に、シーツをぐっと握りしめる。

――ウソだ。
こんなの、有り得ない。



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「見えない臓器の名前は」
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