It's not so far

「だって!鳴に会えないから、エッチできないし、でも俺だって一応男だから、欲求不満とかあるし!でも俺は鳴を愛してるから他の奴とはエッチできないし。そうすると一人でするしかないから、おかずが必要だしっ…!!」

馬鹿正直な鉄平の直接的な表現に、くすりと吹き出す。

「そんなの、俺だって同じだよ」

「鳴…?怒らない、の?」

『鳴を愛してるから他の奴とはエッチできない』
この言葉のどこに怒りを感じればいいのだろうか。

「怒らないよ。鉄平は変態だなあ、と改めて思ったけど」

鉄平が変態だというなら、自分は一体どうなのだろう?
今、何を言おうとしてる?

「鉄平、しようか」

「え?何?何を?」

焦る鉄平の声を、可愛いと思った。
そう思った瞬間、どうしようもない熱が体の中を駆け巡る。

鉄平は今、どんな顔をしてる?

「セックスしよう」

電話の向こうの鉄平が息をのんだのが分かった。





ズボンを脱いでベッドに腰掛け、右手を下着の中に入れる。

左手には電話を持ったまま、甘えた声で電話の向こうへ呼びかける。

「鉄平…触って」

「鳴、どこ?どこ触って欲しい?」

「ん…気持ちいいとこ」

「ここ?」

鉄平の声を聞きながら、すでに半起ちのペニスを扱いて本格的に勃起させる。
目を閉じてくしゅくしゅと右手を上下に動かした。

「鉄平…ん、ァ、そこ…っ、ハァっ」

「鳴…気持ちいい?」

鉄平の指。
鉄平の声。
鉄平の熱。

指先と、耳に神経を集中させて、鉄平を感じる。

「は…っ、ン、気持ち、い…ぁっ、ア…」

「鳴、先っぽ弄ってあげる」

鉄平の声と同時に親指の腹で先端をぐりぐりと刺激する。
先走りが溢れて、クチュクチュといやらしい音が立った。
鉄平にも聞こえてるだろうか?

「あ!…ん、っふ…ァ…」

「こんなに濡らして…鳴も溜まってたんだね」

「ン、ぁ…は、鉄平…一緒、に」

「うん、俺もシてるよ。鳴のエッチな声、もっと聞かせて」

「ぅ、ん…ァ、はっ…ン、ぁ、あっ…」

「…っ、はっ、なりっ…」

乱れた吐息が電話越しにシンクロして、鉄平の存在をすごく近くに感じた。

遠く遠く、離れてはいるけど。

二人の気持ちはきっと同じ。

そう思うと、距離なんてもう、どうでも良かった。



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