Black cat -四つ葉-

昼食を買いに、財布だけを持って会社を出る。

気持ちを切り替えて午後の仕事をする為に、スタミナのつく昼食が食べたかった。
携帯を置いてきたのは、鳴らないそれにため息をつくのを防ぐ為。


恋心とそれに伴う行動だけは学生のような、今の自分の状況が少し可笑しかった。


社内でも有名な、近くの弁当屋のスタミナ弁当を買い、社に戻る。
外で食べようかとも思ったが、少し日差しが強かったので、やめておいた。

廊下で、これからランチに出る女子社員とすれ違う。
お疲れさま、と軽く声をかけると席の近い子が嬉しい情報をもたらしてくれた。

「お疲れさまでぇす。麻生さん、机の上で携帯がなってましたよぉ」

媚びるような口調はうっとおしかったがその内容は貴重だったので、お礼を言って、自分の席に走った。


メールの受信を知らせるランプに、スタミナ弁当をそっちのけで携帯を手にする。

その内容を確認して、スタミナ弁当は必要なかったな、と思った。

『返信遅くなってしまってごめんなさい。
僕も真一さんに会いたかったので、日曜日、遊びに行きます。
見せたいものって何ですか?
メールじゃダメですか?
気になって、テストに集中できないなー、なんて(笑)』

明るめの文章とその文頭に、にやにやしながら返信を打った。

『日曜日のお楽しみ。
テスト、頑張って!
頑張ったら、いい事が待ってるよ。』

日曜日までの数日が、待ち遠しくてたまらなかった。





そわそわしながら土曜の仕事を終え、必要なものを揃えにペットショップへ向かう。
明日の午前中に、安田が俺のアパートに猫を連れてきてくれる事になっていた。

実家で飼っていた猫の事を思い出し、必要なものをカゴに入れる。
店内を歩き回る俺の目にふと、明るい色が飛び込んできた。

カラフルな首輪のコーナーの前に立って、緑色の首輪を見つめる。
見覚えのある、銀の飾りが光っていた。

緑色は成猫用だったので子猫用の、同じ銀の飾りの付いた黄色い首輪をカゴに入れる。
黒い毛並みには、黄色もよく映えるだろうな、と思った。



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