やっぱりできない
[リボンと風 その後]
靴の紐を結ぼうとして、ダリスはしゃがんだ。
横では、シフェルーがダリスの足元を覗き込むようにしている。
「…見るんじゃない」
「何が?」
くわえた煙草を不機嫌そうに鋭い犬歯で噛み締めて、ダリスは靴紐を丸めて無理やり靴の中に押し込んだ。
「あー…。やっぱりリボン結びできないんだ」
「うるさい」
「俺が結んであげよっか?」
笑って、シフェルーはダリスの足元に座った。
「ぷ、くくくく…」
「笑うな」
『多分、リボン結びの練習はしない』
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