好きな仕草 U
ダリスは普段、焦茶の髪を撫でつけてオールバックにしている。
村に住んでいた時は無理やり一つに結んでいたが、王都ではそのままだ。
目覚めると、ベッドの横のテーブルから煙草をとり、火を点ける。
律儀にマッチを使うダリスが何だか可笑しい。
寝ている間にボサボサになった前髪をかき上げて、煙を吐き出した。
「…おはよ」
シフェルーが横になったまま声をかけると、灰色の瞳がこちらを見下ろした。
煙草を手にしたまま、ダリスはシフェルーの額にキスを落とす。
前髪が一房、唇と一緒に落ちてきて、シフェルーの頬をくすぐった。
「おはよう」
前髪の下りているダリスの表情は、不思議と和らいで見える。
朝からダリスに見蕩れてしまって、シフェルーは恥ずかしくなって毛布で顔を隠した。
『ラブラブです』
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