ふわふわ

「やっぱり買いすぎたねぇ…」

「そうだな。今日の夜はオムライスにするか?」

キッチンで買い物袋から食材を取り出しながら、尚哉さんと僕は笑う。



いつも食材を買いに行くスーパーで、卵の特売をしていた。

普段は尚哉さんが会社帰りに一人で行くことが多いけど、今日は日曜日で、出かけたついでに二人で行った。

そんな僕達を待っていたのは、透明のパックに規則正しく並んだ、白く丸いフォルム。

そして、『お一人様1パック限り』の黄色いPOP。


尚哉さんは迷わず2パックカゴに入れたけど、今見てみると、すごくたくさんに感じてしまう。

「オムライスかぁ」

「それとも親子丼にするか?」

卵に引き続き鶏肉を袋から取り出しながら、尚哉さんはメニューを考える。


一緒にメニューを考えようとした僕は、ふと思いついた事を口にした。

「尚哉さん、玉子焼きの作り方、教えて?」

「玉子焼き?」

「うん。尚哉さんの玉子焼きおいしいから、僕も尚哉さんみたいに作れるようになりたいな」

卵もいっぱいあるし、とパックを持ち上げながら言う。

「ダメ?」

パックを手にしたまま首を傾げると、尚哉さんはクスクス笑いながら、

「もちろん、いいよ」

と頷いてくれた。




食材をしまって、卵だけをキッチンの作業台の上に置く。

「まずは、お手本」

尚哉さんは卵を2個素早くお皿に割って、塩を少し入れる。
それから、牛乳を少し。

「牛乳入れるの!?」

「ああ。卵がふわふわになるんだ」

しゃかしゃかと卵を混ぜながら尚哉さんは得意げに笑って見せた。

玉子焼き用の長方形のフライパンを火にかけ、油をしいて、

「行くぞ」

と、小さく言ったかと思うと、素早い手付きで、あっという間に玉子焼きができてしまった。



ほかほか湯気を立てる黄色いふわふわの玉子焼きを切って、お皿に盛る尚哉さん。

「すごい…早いねぇ」

「まぁ、な。ほら、直の番」

卵を渡してくれたので、お皿に卵を割る。
尚哉さんみたいにさっとはできないけれど、上手に割ることができた。

「お塩、このくらい?」

「んー、もう少し」

「牛乳は?」

「あんまり入れると、巻くのが難しいからちょっとだけがいいかな」

尚哉さんに教えてもらいながら塩と牛乳を入れて、卵をかき混ぜた。



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