Rainy Days
ベッドから出て、直に毛布をかけ直してから、朝の支度に取りかかる。
なるべく大きな音を立てないように、シャワーを浴びて身だしなみを整え、朝食の準備を。
昨夜のシチューにコンソメスープと白菜を足して、クリームスープに。
冷蔵庫から卵を取り出して、卵焼きにするか、目玉焼きにするかを考えていたら直が寝室からぺたぺたと歩いてきた。
「おはよ。何か、いい匂いがする」
「おはよう。昨日のシチューをスープにしたんだ。卵はどうする?」
鼻をくんくんさせながら、目をこする可愛らしい姿に笑みを隠せない俺は、緩みっぱなしの表情で問う。
「…ゆで卵がいいな」
思いもよらない直の答えに了解を告げて、洗面所へ移動する直の背中を見送った。
朝食のあと、いつものように二人で片付けをし、家事を済ませる。
直は驚くほど手際が良くなっていて、今すぐに嫁に行けるな、とからかったら、
「じゃ、尚哉さんのお嫁さんにしてくれる?」
と、逆にからかわれてしまった。
昼過ぎ、軽めの昼食を済ませて片付けを終えると、心なしか直がそわそわし始めた。
そんな直の様子を見守りつつ、自分の支度をする。
「そろそろ行くけど、どうする?直」
出る直前まで待ったが、何も言って来ないので、やんわり問うが、直は肩を落として黙ったままだ。
「なお?」
下を向く直の頭を撫で、縮こまっている体を引き寄せる。
抱きしめて、背中を軽くぽんぽんと叩くと、強い力で抱きしめ返してくる直。
「どうした?」
あやすように頬に口付けて、返事を促すと、
「僕…。ここで、待っててもいい?」
小さく、震えた声で返答があった。
まるで何かに怯えているような直の声に、胸が痛む。
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