Snowy Night

「いただきます」

尚哉さんが手を合わせて、さくさくとトーストを食べ始める。

僕も小さくいただきますをして、サラダにのっていた半分のゆで玉子と、ミニトマトだけを食べる。

尚哉さんは、サラダに入っているブロッコリーをフォークにさして、

「サラダに入れるのと、ゆでてマヨネーズかけるのと、どっちが好きだ?」

と聞いてきたりする。

僕はサラダと答え、ブロッコリーを食べると、フォークを置いた。

「もういいのか?」

「…はい」

何だか申し訳なくて、うつ向いたまま答える。

「…そうか。じゃあ、サラダにラップして冷蔵庫に入れててくれるか?」

「はい。あの、トーストは?」

「俺がおやつに持っていくよ」

え?
おやつにトースト?
待って、その前に。


…尚哉さんが、おやつ?


「…ふふっ」

ピシッとスーツを着て、格好良くブラックコーヒーを飲む姿の尚哉さんと、『おやつ』という可愛らしい単語がミスマッチすぎて、何だかおかしかった。

尚哉さんは、

「おやつにトーストは変、かな?」

と言いながら、やっぱり笑っていた。







学校から帰るとお風呂を洗って、掃除をした。

毎日掃除をしてるから、あまり汚れてはいない。



だけど、何かをしていないと考えたくないことばかり、考えてしまう。



掃除をして、宿題をして、尚哉さんの帰りを待つ。

本を読んだり、テレビを見たりして六時を過ぎた頃、家の電話が鳴った。

「はい、竹中です」

出るとすぐに、聞き覚えのある尚哉さんの声が、僕の名前を呼んだ。

「あ、直?」

「尚哉さん、どうしたんですか?」



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