Under The Stars

「…っ、はぁっ…、ン、む…」

乱れた息を整える僕の唇を容赦なく、柔らかな感触が塞ぐ。

「ん〜…、ァ…〜ふ、くしゅん!!」

軽い音を立てて触れるだけのキスをされ、空気を求めて唇を開いた瞬間、盛大なくしゃみが出てしまった。

「…寒い、よな。中に入ろう」

ふと我に返り、慌てたように尚哉さんが手をひいて僕を部屋の中へ押し込む。

宿題のノートとペンケースも部屋の中に入れてくれ、急いでドアを閉める尚哉さんが何だかおかしかった。

カーテンを閉めようと僕に背を向ける尚哉さんの背中に腕を回す。

「直、ベッドに…っ!?」

驚いたように、途中で言葉を止めて、きっと尚哉さんは僕の次の行動を待っている。




しようと思って、くしゃみをしたわけじゃない。

むしろ、僕の望んでいた事を、くしゃみは邪魔してしまった。

「尚哉さん、僕」

まだ少しだけ、湯上がりの香りの残る尚哉さんの背中に頬を寄せて、自分の気持ちを素直に伝える。



「ベッドまで、待てない、よ…?」



自然と甘い囁きのようになった僕の言葉に、再び尚哉さんのスイッチがオンになる。


くしゃみに望んだことを邪魔されてしまったのは、僕も尚哉さんも一緒だったんだ。

閉めかけのカーテンより、僕の体を優しく包んで口づける事を、尚哉さんは選んでくれた。


さっきのキスの続きをしながら、ベランダの大きなガラスドアの際に横たえられる。

フローリングが背中にあたって痛いなと思ったけど、すぐに尚哉さんの絡まる舌が、そんな事は考えられないようにしてくれた。



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