Under The Stars
夜空の色した瞳に映る小さな光が、どうか。
僕で、ありますように。
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尚哉さんは、雰囲気を作るのが上手なんだと僕は思う。
ベランダなんて、誰に見られるか分からないのに。
声だって、隣の部屋の人や下の部屋の人に聞こえてしまうかもしれないのに。
尚哉さんのムード満点な囁きと視線に、僕は負けてしまった。
パジャマのボタンをほとんど外されて、ズボンだって、今はもうズボンとしての役割を果たしていない。
「ん…、ァ…っ」
素肌を撫でる、尚哉さんの指に反応して洩れてしまう声を、それでも必死に抑えようとする僕に、尚哉さんは止めを刺した。
「直、我慢しないで。いつもみたいに、声、聞かせてごらん」
「ハァ…ん、…〜ゃ!、ふ…ぁ、ンっ」
高く上がった自分の声が恥ずかしくてたまらない。
だけど、我慢していた分だけ、一度高くなった声を止める事は難しかった。
両手で口を塞いで、無理にでも声を小さくしようと試みる。
尚哉さんが、そんな僕の行動に少しだけ笑ったように感じた。
口元にある指に、ゆっくりと尚哉さんの唇が近づく。
「ン〜、っ!ァあ…っ」
並んだ指の薬指と中指の隙間に、無理やり舌をねじ込まれて、掬うように中指を甘噛みされた。
指を噛まれる、なんて。
始めてのことに、ぞくぞくと体が震える。
僕の瞳から、尚哉さんの瞳まで、距離は五センチもない。
薄暗闇の中でも、黒い瞳に映る光が分かるほど。
尚哉さんの瞳の中に瞬く光が、星のようだと、僕は思った。
なんて、ちょっと違うことを考えていただけなのに、意地悪な尚哉さんの囁きが聞こえてきた。
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