Wind Fall

キッチンで食事の支度をする。

昼食も兼ねているので、メニューは和食。


コンタクトがないので、仕方なく以前使っていた眼鏡をかけて、料理を開始した。

豆腐とわかめで味噌汁を作り、余り物の肉と野菜で炒め物を。

曇る眼鏡のレンズを拭いながら、火加減を見つつ、隣の真剣な面もちでフライパンを操る直を観察する。

一生懸命、覚えたての玉子焼きを作る直。

俺の視線に気づきもしないで、器用に箸を使って卵を丸める姿に自然と顔が綻んだ。

「っ…と。やったぁ!尚哉さん見て、上手くできたよ!」

「本当だ。上達したな、直。俺が作るより美味しそうだ」

照れたように笑いながら、湯気の上がる玉子焼きを食卓に並べ、席につく。

「食べよ。午後から出かけるよね?」

「ああ。コンタクト買いにいかないと。あと、直の靴も」

「…僕の、靴?」

「そう。最近、踵を踏んでるだろう。きつくなってきてるんじゃないのか?」

直に続いて席につき、手を合わせた。

「…うん」

「じゃあ、決まりだな。いただきます」

「いただきますっ」

食事をしながら、どこに買い物に行くかを話し合う。

直が少し遠慮しながらも、行きたい所を挙げたので、午後の予定を決めて、料理を平らげた。


空いた食器を自然と流しに運ぶ直。

俺が取りかかるより先に、慣れた手つきでそれらを洗い始めてしまった。


食器洗いは直に任せて、テーブルを拭き、軽く掃除を済ませる。

「尚哉さん、洗い物終わったよー」

「ん。じゃあ、行くか」

振り向いて、車のキーを手に取るが、直が慌てて続けた。

「ぅ、わ!ちょっと待って。服、濡れちゃったから、上だけ着替えてくる!」

洗い物をしたせいで、濡れてしまった服を着替えようと、直が寝室へ消えてしまった。

すぐだから、と声がしたので、先に玄関へ向かい、直を待つことにする。


「お待たせー。行こう」

言葉通り、すぐに直が顔を出したので、家をあとにした。



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