Typhoon Area

あぁ、だめ。だめだよ尚哉さん。
そんな風にされたら、僕。
もう、だめっ…!

「ゃっ、も、ぼく…ぁっ…は、ぁっ…あぁっ、んっ…で、ちゃぅ、ァ…ふっ、ん、ん…ーーァ…、っ」

体中がビクビク震えて、痺れるような甘い、痛み。

つかんだままの髪をしっかり握って、その舌先に促されるまま、尚哉さんの口の中に熱を逃がした。




口を離して、小さくなった僕の先っぽをぺろりと舐め上げる尚哉さんの顔は何だか満足そう。

「直、これで、許してくれるか?」

開いた口の中には、放ったはずの僕の雫は見えない。

はぁはぁと腰を痙攣させながら、そんな尚哉さんの問いに、何のことを言っているのかしばらく考える。


少し息を整えてから、何のことかを思い出したので、黙ってこくりと頷いた。


だって、これ以上されたら、僕。
どうにかなってしまいそうなんだもの。


ベッドに、どさりと倒れ込む。
そんな僕を見て、尚哉さんが、

「ちょっと、待ってて」

そう言って、寝室のドアを開けたままキッチンへ向かう。






ベッドに寝ころんだまま、寝室からは見えないキッチンの音に耳を澄ませる。


ガサガサと包みを開ける音。
蛇口をひねる音と、水の音。
食器のぶつかる高い音と、冷蔵庫の扉の音が順番に聞こえる。

それから、カタカタと何かを組み立てるような音の後に、ガリガリという聞き覚えのある夏の音。


もしかして、これは。


ベッドから起き上がって、開いたままの寝室のドアへ向かう。
ドアに手をかけたままキッチンを見ると、予想通り。
尚哉さんがかき氷を作っていた。

「まだ、横になってて良かったのに」

削られて落ちてくる氷を器用にお皿でキャッチしながら、尚哉さんが僕に気づいた。

「音が、気になって」

尚哉さんの横に並びながら、その手元をみつめる。

「おいしそう」

「まだ、何の味もついてないよ。その袋の中にシロップが入ってる」

両手のふさがった尚哉さんが、あごでスーパーの袋をしめす。

「これ?」

中からシロップを取り出して、尚哉さんの横に並べた。

イチゴ、メロン、レモン、青りんご、ブルーハワイ。
カラフルで小さな氷蜜のボトルが次々と出てくる。

「直がどれが好きか分からなかったから、ある味全部買ってきた」

かき氷機を止めて、氷の形を整えながら尚哉さんが言う。



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