Dence Fog

髪を乾かし終わり、指ですくとサラサラという音と共に微かにシャンプーの薫りがする。
その芳しい艶やかな髪に唇を寄せて、呟いた。

「直、キスしたい」

返事も聞かずに直の正面に回り、頬に触れる。

「尚哉さん?ど、どうしたの?」

突然の俺の呟きに、戸惑いの声をあげる直。

「どうもしない。ただ、キスしたい」

「……」

恥ずかしそうに目を伏せられる。
そんな仕草を見て益々欲が深くなり、我慢しきれずにもう一度問う。

「しても、いいか?」

直の首が、小さく縦に動いた。


長い睫が薄い影を落とす紅色の頬。
次いで、ふっくらとした朱唇に口付けた。

座っている直の腰に腕を回すと体がピクリと跳ねて、唇から熱い息が漏れる。

「っ…は…」

その吐息の合間に、開いた唇を舌でなぞった。
驚いたのか、直の唇はすぐに閉じられてしまう。

唇を離しながら首にも手を添え、静かに囁く。

「…なお。口、開けて」

「……?」

不思議そうにしながらも、小さく口を開く直。

「そう…それでいい。閉じたら、ダメだぞ」

腰の手を直の口許に持っていき、指先でその柔らかな唇に触れる。
再びゆっくりと顔を近づけ、開かれたままの下唇に吸いついた。

「んっ…ぅ…」

軽く食んで、先ほどのように舌でなぞる。
そのまま、直の口内に舌を入れた。

「っ…!!」

直の手が俺の服の肩口を握る。
あやすようにその腕をさすって、直の舌に自分のそれを絡めた。



キスで、俺の気持ちは伝わるだろうか。



伝わればいい。
この想いが、全て。



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