01

煌々と明るい寝室のベッドの上。

聖[ひじり]に押し倒された俺は思わず絶叫した。

「聖!電気、消せって。…っ、いつも言ってる、だろっ」

俺の叫びを半ば無視して、聖は頬や首筋に口付けてくる。

「え〜…。だって電気消したら宗[そう]ちゃんの顔が見えなくなっちゃう…」

心底不満そうに、口を尖らせて聖は言う。
だから。
だ、か、ら!
消して欲しいんだって!
それくらい分かれよ。
あんな顔やこんな顔を見られるのが、恥ずかしいんだよ!

今も、具[つぶさ]に見てとれる。

俺のすぐ真上にある聖の顔の。


瞳の色。
鼻筋の陰影。
少しだけ、濡れた唇。
降り注ぐ、長めの黒髪の細さまで。


「ホント、無理…」

こんな至近距離で見つめられることなんて、今までなかった。

手で顔を覆って、聖の熱っぽい視線から逃れる。

「ひ、じり」

頼むから、たのむから。
恥ずかしくて、死ねそうなんだよ。

「…宗ちゃん、じゃあ、」

聖のとっておきの声が、右耳のすぐ上で響いた。

「っ、あ……!」

ゾクリと甘い痺れが耳の裏から全身を駆け巡って。

俺の雄の部分が熱を持つ。

「お願い、って、言って?」

「〜っ!…言えるか、そんなこ、…っ」

調子に乗るな!と、怒鳴ってやりたかったが無理だった。

聖の手が、俺の股関をなで上げたから。

「っ…ふ、――――」

極限まで抑えた小さな声で。
俺は聖の望む言葉を口にしてしまった。




暗転。



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