04
雨だれの音で、目を覚ました。
普段、なかなか起きられない性質なのに、雨の朝は不思議。
雫が地面に落ちる音、窓ガラスを打つ音を聴く。
空から零れて、目指す所は新緑の大地。
自分も雨粒になったような気持ちで、ふらりとベッドから抜け出た。
窓際に脚を伸ばして座って、ほんの少しだけ窓を開ける。
湿った匂いと、冷たい音に時間を忘れた。
「ひじり?」
そのうち宗ちゃんが目を覚まして、隣にいない僕を探すように勢いよく身を起こした。
「ここ」
ベッドから見えづらい所にある、窓の下で返事をすると、毛布を引きずってきて僕に差し出してくれる。
「んな格好だと風邪ひくぞ」
「宗ちゃんもね」
昨夜の情事の名残で、僕も宗ちゃんもほぼ裸だ。
「こっち、来て?」
言って、毛布を握る宗ちゃんの手を取り引き寄せようとすると、僅かな抵抗。
「俺は、お前と違って今日から仕事なんだよ。メシの準備もある」
ふん、と鼻を鳴らして僕の手を振り切ろうとするので、甘えた声で求めた。
「ごはん、いらないから。ちょっとだけ」
「ダメ、だ」
あくまで僕の腕の中を拒否する宗ちゃん。
――強情だなあ。
心の中で、笑う。
けれどそれを、決して宗ちゃんに悟られたりはしない。
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