01
暗闇の中。
目を凝らして。
耳を澄ませて。
指を這わせて。
愛しい人の全てを、全身に刻み込む。
「宗ちゃん、ココ、好き?」
僕が指を動かすと、宗ちゃんの喉の奥がヒクンっ、と鳴るのが好き。
普段は強気な宗ちゃんの、甘い声を聞くのが好き。
いやらしい水音を盛大に響かせて、宗ちゃんの胎内[なか]を探る。
中指と人差し指を、これでもかと埋めて。
曲げて。
伸ばして。
回して。
揺さぶる。
「ん、ん゛っ…ぁっ、…ふ、」
「宗ちゃん、返事してくれなきゃ、僕、分かんないよ?」
くぐもった吐息と、鼻にかかった嬌声で。
本当は分かっているけれど。
「宗ちゃん、ココ弄られるの、好き?」
くりくりと、中指の腹で胎内の前立腺を刺激する。
「ん!、ぅ…あっ、ぁ、は、…ス、キっ…ぁっ、…ひ、じり…ぃ、っ」
こんな風に、あられもない事を口にする宗ちゃんの表情が、本当は見たいけれど。
暗闇の中なら、僕が隠しておきたいものも隠すことができる。
「ん、宗ちゃん、もう限界。ね、挿れてい?」
「…っ、ん、聖…はやくっ…!」
ねえ、宗ちゃん。
僕ね。
本当は宗ちゃんが思ってるほど、いい奴じゃないんだよ。
イジワルだし。
性格も悪いし。
宗ちゃん以外の存在は、はっきり言ってどうでもいいし。
でもね、だから。
「好きだよ、宗ちゃん」
暗闇の中でなら、素直になれる。
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