06
怒濤の勢いで喋られて少し困るが、落ち着いて返した。
「ありがとう。誕生日パーティーは新しいクラスのみんなを招待するように言われてるから、是非来てよ」
わあ、と歓声が上がった後、一人がはっとして口を開いた。
「クラスメイトみんな、ってアイツも、呼ぶの?」
割と親しい友人が指したのは、僕の斜め後ろ。
清廉な瞳の彼、だった。
「もちろん。僕は初めて同じクラスになったけど、君は知ってる子?」
「初めても何も、編入生ですよ」
「編入生?珍しい」
珍しい所か、と。
良く知った彼は初めて見る顔で言う。
「異例中の異例です。一体いくら積んだんだか」
荒っぽい口調と睥睨するような眼差しに驚きつつ、もう一度斜め後ろを振り返った。
自分の話題だと気付いたのか、彼は席を立って、教室のドアへと向かう。
「待って」
思わず彼を追いかけて、その肩を掴んだ。
少しだけ大きめのブレザーに包まれた骨格は痩せていて、細い。
触れてはいけないモノに触れてしまった気がして、伸ばした腕を慌てて引っ込めた。
「何」
淡々とした口調で僕を振り返った彼は、きっと僕らの話題には全くの無関心だったのだろうとすぐに分かった。
謝るのも違う気がして、
「今週の日曜日に、僕の誕生日パーティーをするんだ。君もぜひ来てよ」
親しみを込めて笑いかけた。
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