04

悶えるように天を仰ぐと、視界に映ったのは墨色をした空。

――ああ、これは、ヤバい…!

銀の軌跡が、僕を支配した。



湿った口の中に精を放って、肩で息をしていると、満足げな声がきこえてきた。

「俺、準備するわ」

ティッシュで口を拭って、強気な笑顔で宗ちゃんは言う。

シャワーに行こうと、疲れた様子もなく立ち上がり、着替えを準備する背中を見つめた。

一体何処に、そんなエネルギーを秘めているのだろう。

腕の曲げ伸ばしに合わせて動く肩甲骨の形が綺麗だな、とぼんやりと思った。

「…帰ったら、宗ちゃんにも、ちゃんとするから」

「俺はいいって」

腕の中の衣服とタオルを確認しながら、扉を閉める前に最後の一言。

「足腰立たなくなるのは、お前の方だぞ」



ドアの閉まる音をきいて、僕はずるずると床に横になる。

――さすが、宗ちゃん。

朝の一時の宗ちゃんの言動を反芻する。

「カッコイイ…」

甘いため息は、窓の外の雨音にかき消された。



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