Congratulations!
片手に余るくらいのサイズの箱を、暁人さんに促されるまま開ける。
「わ…!腕時計!ありがとう暁人さん」
スポーツ仕様の腕時計が品良く収められているのを見て、感激した僕は思わず、暁人さんの頬に感謝のキスをした。
「どういたしまして。高校入学おめでとう」
「ちょ、ちょ!俺もいるんだけど…すみれー」
竜介さんが拗ねたように暁人さんを押しのけたので、僕はその頬にも音をたてて唇を寄せる。
「竜介さん、お祝いのお料理たくさん作ってくれて、ありがとう」
んー、と満足そうに笑う竜介さん。
「ガキか…」
ぼそりと呟いた暁人さんの言葉も気にならないくらい、竜介さんは喜んでいた。
「じゃ、改めて!菫、おめでとう」
「おめでとう」
竜介さんが料理を仕上げて、リビングの大きなテーブルにたくさんのご馳走が並ぶ。
ミモザサラダ、サーモンのフライ、海老クリームのパスタにカニクリームコロッケ、ホタテとベーコンのグラタン、それに目玉焼きののったハンバーグまであった。
「食べきれるかなー!制服きつくなっちゃったら、どうしよう」
フォークを握りしめて、左手には取り皿をスタンバイ。
「大丈夫だって、あとでさっきの続きすれば!」
「食事中に…下品な奴め」
「わあ〜、コレ美味しいよ、竜介さん」
お祝い、という名目で、その日は夜遅くまで三人で竜介さんの部屋で過ごした。
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