Congratulations!
「残念だな〜。菫の入学祝いだから、たくさん作ったのに」
「本当にね。少しだけでも、食べて行けばいいのに」
「…寂しい?」
本音を言い当てられて、少しどきりとする。
「ちょっとだけ、ね。でも竜介さんも暁人さんもいるから、平気」
取り繕っても竜介さんはお見通しなので、そう言いながら肩をすくめた。
キッチンからエプロンを取りながら、竜介さんが歩いてくる。
腕を引かれたので、何の躊躇いもなく竜介さんの胸に頬を寄せた。
ぎゅう、と音がきこえるんじゃないかって位、僕を強く抱きしめたまま。
「俺が、麗さんの分も祝うよ」
急に静かにそう言うので、何だか一気にロマンチックなムードになってしまった。
「ありがと。竜介さん」
お礼を言うと、竜介さんが僕の頬にキスをしてきた。
ちゅ、と軽い音を立てて柔らかな唇が離れていく。
「暁人が帰ってくる前に、俺のお祝いは済ませておこうか?」
ふざけたような口調だったけれど、竜介さんの手が腰にまわってきて本気なんだと分かる。
「お祝い、って?」
どきどきしながらきくと、竜介さんはニヤリと口の端をあげた。
「菫の、して欲しいコト。全部してあげる」
「…、竜介さんがえっちなコトしたいだけでしょう?」
口を尖らせると、今度は声をあげて。
「バレたか」
笑いながら、竜介さんは言った。
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