制服

一分でも、一秒でも長く。

この腕の中にいたい。





明るい色のイヤホンも、着崩した制服も、全てが彼にはぴったりと似合う。


好きなものは好き。

嫌いなものは嫌い。


一度気に入ったものはとことん大事にするたちで、自分も一応彼の『お気に入り』に名を連ねている自覚はある。

鋭い瞳が俺を見下ろして甘く細められるのを見ると、彼の唇を咎めることも出来ない。


見つめられれば、嬉しくて。

触れられれば、舞い上がって。

離れていれば、寂しい。


同じように、彼も思ってくれているだろうから、全てをあげた。

そうしてゼロ距離での温もりを知った、秋の午後。




「じゃ、帰るね」

「おー…」

ベッドから下着姿で起き上がろうする彼を慌てて止めた。

玄関まで見送ってもらうのですら、何故だか今は恥ずかしい。

「でも」

「いいから!ホントにここで」

俺の言葉を聞いているのかいないのか、眠たい目をこすりながらすうっと起き上がって、白い腕をこちらへ伸ばしてくる。

かけ忘れていたシャツの第二ボタンを器用に留めてくれ、よし、と笑ってハグ。

「気をつけて帰れよ」

優しげな声で言われて、名残惜しさが込み上げる。

明日が休みだったら良かったのに。


思ったことを表情で悟られたのか、ひそりと耳元に息がかかった。

「週末は、泊まりに来いよ」

勢いよく頷いた俺の頬は真っ赤だったんだろう。


もう一度、彼がキスしたくなる程に。



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