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頭の中で、警告音が鳴ってる。
惹かれては、いけない。
と、分かりきっているのに。
本当にアイツは最低で。
二股三股は当たり前。
女も男も食い散らかし放題。
二番目でもいいよ?なんて。
そんな勇気のある発言は俺にはできない。
愚かな勇者が、何人も討ち死にしてきたのを、見たじゃないか。
それなのに。
アイツのふとした瞬間の寂しげな表情に。
笑ったときに上がる、左の口の端に。
俺の名前を呼ぶハスキーな声に。
高鳴る鼓動はどうしようもない。
食い散らかされて、泣かされて、傷ついて。
目を合わせることすらできなくなるなんて、ごめんだ。
だから、この言葉は、呪い。
「本気になってみろよ」
――俺に、恋に。
「なれるもんなら、な」
精一杯の挑発的な笑みで、頭の中に鳴り響く警告音を無理矢理に止めた。
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