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甘い響きに、身を委ねて。




「恋なのか?」

上官の部屋に呼び出され、叱責を受けている最中、頭の中で当てはめる漢字を間違えた。

『故意なのか?』

プチパニックに陥った脳内はしかし、冷静に正しい漢字に訂正してくれ、安堵する。

「いつも、私を怒らせるようなことばかりして…」

ため息と共に、口元にたくわえられた髭を一撫で。

長い指が顎を這い、ざりざりと低い音がする。


俺が、そんな風に目の前の肌を撫で回したいと考えているなんて、この人は思ってもいないのだろう。


「君には、罰を与えなくてはならない」

罰、という言葉さえ、この人が発すると、どこか扇情的。


あなたが与えてくれるモノなら、どんなことでも享受します。

と、口に出して言えたらいいのに。



欲を言うなら。



その、禁欲的な制服を剥ぎ取って、思う存分乱したい。


それが、許される立場になるのは、いつのことだろう。


罰だ、と。
この人を組み敷いて、思いのままにその身体を貪って、啼かせて…。



「聞いているのか」

低い声に我に帰ると、じっとりとした瞳が、そこにはあった。


嗚呼、どうか。
そんな瞳で、俺を見ないで下さい。


欲望の箍が、外れてしまいそう。



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