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それは、似て非なるもの。




「ごめんね?」

と、彼は笑う。

謝罪の言葉を口にしているはずなのに。
この、恍惚とした笑顔はどうだろう。

妖艶に細められた目元。
舌なめずりをして、濡れた唇。

快感によって力の入った眉間に皺が刻まれる。

気持ち良さそうな声を出して、リズミカルに身体を揺らす姿は、まるで華麗にダンスでもしているかのよう。



誰も、教えてはくれない。
ヒトを好きになる方法を。
ヒトを嫌いになる方法も。



だから僕は、自分で探すしかない。

でも、自分一人で見つけたそれはどこか、頼りなくて、曖昧で。



好きになりたい。
嫌いになりたい。

優しくされたい。
冷たくされたい。

弄びたい。
誑かされたい。

虐めたい。
嬲られたい。


どれが、ホントの気持ちなのかは。
まだ、分からないまま。



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