purple
今だけ、と自分に言い聞かせて。
「お前、ちょっと痩せた?」
制服のシャツごと抱きしめた身体を、吟味するように撫で回す。
くすぐったそうに身を捩って、腕の中の生徒は、さあ、とライトな返事をする。
自分のものとは違う、中性的な声。
白いシャツに包まれた、華奢な身体。
「ちゃんと食えよ。あんまりガリガリだと、触ってても楽しくない」
何がおかしいのか、くすくす笑いながら、しなやかな両手が俺の頬を捕らえる。
どこで覚えてきたのか、妖艶な目つきで、
「先生が、食べさせてくれるんでしょう?」
と、囁いた。
何を、と問うような不粋な事、俺はしない。
この、細い身体の望むままに、与え。
そして、奪う。
だから今日も、こうして彼に口付けて。
首筋に、印を刻むのだ。
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