例えば繋いだその手から

二月の風が、彼らの頬を優しく撫でた。

優しいが、その温度は冷たい。

冬に学校の屋上に侵入するなんて間違ってる、と彼らに思わせてしまうくらいに。

「…なぁ」

片方の少年が上向きながら口を開く。

白い色が一瞬、浮かんで。

すぐに、大気に溶けて消えた。

「寒い、な」

「…うん」

もう一人の少年も寒そうに頷く。

「でもね」

その少年は、少し顔を赤らめて。

「こうすれば…ちょっとだけあったかいよね」

彼らの手は、しっかりと重なっていた。



    30/75 [#]→

MAIN
「#甘甘」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -