サイレントムービー
友達と、笑い合いながら、ふざけ合いながらボールを蹴っていた。
狭い校庭は、俺達だけのものではなかったけれど、それでも楽しい。
走り疲れて、ふと見上げた二階の窓。
そこに佇む一つの影。
そいつは、俺の方をじっと見て口を開いた。
どうしてこんなに遠くから唇が動くのが分かったんだろう。
「 」
勘違いなんかじゃない。
俺に向かって、何かを言った。
知らず、校舎に向かって走り出す足。
背中に、俺の名前を呼ぶ友達の声が聴こえた。
それよりも今、聞きたいのは。
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