右の頬焦がしてく

授業中でも、休み時間でも。

窓際に座る俺の右の頬は、いつも。

恋人の視線に晒されている。





「お前さ、いくらなんでも見すぎだから」

授業が終わり、廊下側に座る恋人に軽くデコピンをした。

「いったーい!だってぇ…」

デコピンをした相手は、おでこを抑えつけながら唇を尖らせる。

「そんな顔しても、可愛くないから。つうか、そんなに痛くもないだろ」

「いたいよ!おれのおでこは繊細なの!」

「見すぎなお前が悪い」

俺が本気でデコピンしたらお前の小さい頭なんか吹き飛ぶぞ、とばかりに先ほどより少し強めに中指をお見舞いしてやった。

「いたい!ヒドい!愛がない!」

半泣きになりながら、妙なセリフを口にして席から逃げようとするバカの右腕を引っ張る。

「愛なら、あるぜ?」

右腕を引くと同時に、その頬に唇を寄せた。





俺の右の頬を、視線で焦がした、これは罰。





授業終わりの教室がざわつくのと、きょとんとする恋人が我に帰ったのは、ほとんど同時だった。



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