MILK
朝食のあと、コップに注いだ白い液体をいっきで飲み干す。
となりに座って新聞を読んでいた恋人が、あきれたように呟いた。
「腹くだしても知らねぇぞ…」
知らねぇぞ、だってさ。
ふふっ。
少し乱暴な口調に、緩んでしまう僕の唇。
「何がおかしい…」
今度はムッとしたように呟く彼。
睨まれたって、全然怖くなんかない。
「何でもないよ」
僕がやっぱり笑いながら言うから。
益々、ムッとした表情の彼。
僕から目をそらし、新聞に視線を戻してしまう。
「…ねぇ」
新聞を持つ腕にそっと僕の手を置いて、耳に直接声をかける。
びっくりする彼にやっぱり笑いが漏れてしまって。
それをごまかすように、
唇を、重ねる。
思いがけない程柔らかな、彼の唇に。
僕は、知ってるもの。
ホントにおなかを壊したりしたら、優しく看病してくれるってこと。
それくらい、僕を思ってくれてるってことも。
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