BEER
ゴクリ、ゴクリと彼の喉が鳴る。
缶から直接、黄金色の液体を流し込んでゆくその喉元は、すごく…色っぽい、と思う。
「っ、はぁ〜っ!!」
お風呂あがりで喉が渇いていたのか、おそらく半分ほどをいっきに飲み干してしまった。
僕はタオルで髪を拭きながら、その様子をじっと見つめる。
そして、
「ねぇ…そんなに、おいしいの?」
尋ねながら、手を伸ばす。
「一口、ちょーだい?」
彼は一瞬、驚きの表情になるけれど。
「ダーメ」
困ったような笑顔でそう言われてしまったら、引き下がるしかない。
「……」
不満そうにしていたら、彼の顔が近付いてきた。
「コレで、我慢しな?」
唇が、重なる。
初めて味わう大人の味は、少しだけ苦かった。
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