SOUP

タバコ臭いから、近づくな。

照れ隠しで言ったのに、アイツが素直に従うから悪いんだ。

せっかく泊まりに来てやったのに、キスもしてくれない。

同じベッドで寝てるのに、抱きしめてもくれない。

背中を向けたまま朝を迎えて、俺が起き上がる前にベッドを抜け出したアイツ。

一人分あいたスペースのシーツを手繰り寄せても、温かくはない。



涙が、にじんでくる。



こんなつもりじゃなかった。

久しぶりに会うんだから、いっぱい甘えてやろうって思ってたのに。

いっぱい、甘えさせてやろうって思ってたのに…。


カチャリ、と小さな音をたてて、寝室のドアが開く。
アイツが部屋に入ってくる気配がして、急いで顔を隠した。

ぎしり、とベッドが軋んで、すぐ横にきたのが分かる。

アイツの手が、ゆっくり俺の髪を梳いて。

しばらくの沈黙。

「起きてるんだろ?朝飯、作ったから。食おう」

素直じゃなくて、ゴメン。
そう、言いたい。

「食わないのか?」

「…、…食うよ」

でも、言えない。

朝飯食って、茶碗でも洗ってやるか。



キッチンから、俺の大好きな香りがしていた。



←[*] 57/75 [#]→

MAIN
「#お仕置き」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -