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ここ何週間かの間に、すっかり見慣れたショッキングピンクのネクタイ姿。

それもやっと、今日で終わる。

「最初は少し抵抗あったけど、終わりだと思うとサミシイなー」

――嘘付け。最初っからノリノリだったろうアンタ。

一緒に着替えていたトールさんを少し睨んで、俺もピンクのネクタイをはずしにかかる。

「あれー??ミツ、その顔は何かなー??」

うりうりと俺の頬を指でつついてくるトールさん。

抵抗しようとした瞬間、ロッカー室のドアがノックされた。

「着替え中ごめんね。トールくん、ミツくん、ちょっといい?」

声の主は紛れもなく、ゴローさんのもの。

開いたドアの向こうに立っていたのは、ゴローさんと、オーナーの恋人・チオウさんだった。

「こんばんは。お疲れさまです」

「チオウくん、どしたの??」

ぺこりと頭を下げて、チオウさんは恥ずかしそうに切り出す。

「あの…実は、ピンクのネクタイをお借りできないかな、と思いまして」

「僕のを貸す予定だったんだけど、粉とかで思ったより汚れちゃったから…どっちかの、貸してあげてくれないかな?」

ゴローさんの頼みなら、喜んで。

――しかし、何故にこのショッキングピンクのネクタイを??

疑問符を浮かべる俺とは反対にトールさんはすぐさま理解したらしい。

「やーん。チオウくんのスケベー。このネクタイしめてオーナーに、僕を食べて(はぁと)とかやるんでしょー」

にやにやしながら言うトールさんのセリフに、俺は無意識にゴローさんを当てはめてしまった。




白い素肌にショッキングピンクのネクタイ。
恥ずかしそうに顔を赤らめ、潤む瞳のゴローさん。

『ミツくん…、食べて?』




「「「あ」」」

俺の鼻からぽたりと鮮血が零れ、ショッキングピンクのネクタイに染みを作った。

「…!!…すみません。最近、チョコの食べ過ぎで…っ…」

チオウさんがトールさんのしていたネクタイを携えてオーナーの家へ向かった事は言うまでもない。



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