ジュニアたちとの日常



とりあえず、ジュニアたちのお迎え行って私の家に帰宅して、ホッと一息をついたのは午後5時過ぎのこと。
何せ私が学校終わりのお迎えな為にいつもこのくらいの時間にどうしてもなってしまう。
私の家はさほど広くはないし、子供が楽しく遊べるようなオモチャもこれと言ってない。
だからみんなお絵描きやおしゃべりやテレビなどを見てお兄ちゃんやお母さんの帰りを待っている。
だけどまだこの子達は四歳児。
…お外とかに身体いっぱい使って遊びに行きたいだろうなあ。
だけど夏場以外の5時過ぎは少し暗いから安易に外に連れていけないんだよな…
腰を下ろした椅子の前にあるテーブルにひじをついて頬杖をつきながらジュニアたちを見つめる。
するといつ来たのか私の膝をつついて上目遣いで見つめてくる少年が1人。


「ねえ麗華ちん。おかしあるー?」


お菓子が大好きな健くんだ。
本当に敦に似ていて、性格も好きなものも考え方も一緒。
私はそんな健くんの紫色に染まった髪を撫でながら答えた。


「お家帰れば夜ご飯だよ。だけど、今日も保育園でいい子にできたみたいだからご褒美ね、ハイ。」


キッチンにある棚のいつもの場所を開ける。
中には健くんや他ジュニアが大好きであろうスナック菓子やチョコレートがたくさんあるけど、私はその中の袋に入っている棒付きのキャンディーを手にとり、今か今かと待っている健くんに渡した。
すると彼はぱああああ、と目を輝かせて手のひらに収まっているキャンディーを見つめる。
これが素直で可愛い子供の反応なんだと微笑ましく感じながら目の前にいる紫色の小動物に癒される。
今までキャンディーにあった視線を移して私と目を合わせるとニコッと笑って「ありがとう!」と言ってみんなの元へと歩いて行った。
そして私も他ジュニアたちに配る為に健くんの後を追うようにして歩き出した。


「みんな、ゆっくり食べるんだよ?」

「うん!」

「ゆうたくんはなにいろでしたか?」

「けんのいろだったっス!テツナっちは?」

「テツナはこじゅうろうくんのいろでした」


みんなそれぞれに色が違うから自分は何色で、誰々は何色で…といつも話している。
健くんの色ということは、紫色のグレープ味なのだろう。
それに小十郎くんの色ということは、赤色のイチゴ味なのだろう。
本当に仲良さそうに美味しそうに食べ続けるジュニアたちが何よりも可愛い!
それにちゃんと大人しく座って食べているみんなは本当に偉い。
…孫ができたらこんな感じなのでしょうか。
それから暫くずーっとみんなのことを見ていると、側に置いてあった携帯が震えメールが来たことを告げる。
送り主はどうやら征十郎らしい。
電話をするって今日テツヤからは聞いていたけど…
その前に何かあったのだろうか。
少しの緊張感を持ってメールの文面を確認した。

"今日の8時頃になったらまた電話する。
大事な話だから用事はいれるな。"
といった内容だった。
どうやら、本当に大事な話らしい。
ここまで言っているのだからすぐに出なければきっと怒るだろう。

"分かりました。8時まで待ってるね"
そして私は了解の意を示した文面で返信した。
するともうみんなの口の中にはほとんど飴は入っていないらしく、残った棒だけを手に握っていた。


「じゃ、ゴミ箱にポイしてね!それから、洗濯物手伝ってくれると嬉しいな!」

「麗華がうれしいならてつだおう」

「わたしもやるのよ!」


洗濯カゴを手に持ってジュニアたちに向かいそう言うと、ゴミ箱に飴のゴミを捨てると大きな声で返事をして私の側まで寄って来てくれたのは早くに食べ終わった小十郎くんに真子ちゃんに勇太くん。
ニコニコしながら「おてつだいする!」と元気に言ってくれる。
ありがとう!と言ってからベランダに出て一緒に洗濯物を取り込む手伝いをしてくれた。
それもとても嬉しそうに。
私が足元にいる小十郎くんに乾いた洗濯物を渡すとバケツリレーのようにその小十郎くんの隣にいた真子ちゃんに渡ってそれをまた隣にいた勇太くんに渡し、洗濯カゴに入れた。
それを何度か繰り返すと取り込むという作業はなんとか終わった。
ベランダから中に入ろうとすると下から声が聞こえた。


「麗華っち!」

「あ、涼太!おかえりなさい!」


ベランダから身を乗り出して人物を確認するとそこにいたのは学校帰りの涼太だった。
今から行くね!そう言って洗濯カゴを持って部屋に入りすぐに一階の玄関に向かった。
玄関に着いて扉を開ければニコニコしながら「ただいまっス!」と声をかけた涼太。
見慣れた海常高校の制服の上に肩にかけた指定のエナメルバック。
「お疲れ様。」私も笑って声をかけて家の中に招き入れると靴を脱いで一緒にジュニアたちの待つ二階にあがった。
リビングに入るとジュニアたちが一斉に涼太に飛びついた。
みんななんだかんだ言ってお兄ちゃんズ大好きだからなー…
そんなことを考えていると、ニヤニヤしながら涼太が私を見ていたことに気が付いた。
どしたの?と問うと


「いや、お嫁さんにおかえりなさい。って温かく迎えてもらって子供たちにもこうやって懐いてもらってる旦那さんて幸せなんだろうなー、って。」

「確かにね。お風呂にする?ご飯にする?それともアタシにする?みたいな?」

「うあああああ!麗華っち最高っス!ワンモアっス!ワンモア!」


とまあなんともだらしの無いモデルとは思えない顔をしたので呆れて「バカ」とだけ言い放って洗濯物に手をつけた。
すると涼太は鞄を下ろして私の隣のソファに倒れたた。
どうやらかなりお疲れ様モードみたいで、ジュニアたちに囲まれて為れるがまま状態になっている。
だけど今の時刻はまだ六時を回ったばっかり。
いつもなら八時頃になってしまうのに。
気になった私は洗濯物を畳む手を止めてグッタリとしている涼太の為にお茶を入れて聞いてみた。


「ねえ涼太、今日早くない?」

「あー、今日はミーティングだけだったんスよー…」

「そうなんだ。…にしては、かなりお疲れだね?」

「こないだの試合の動きがかなり悪くてシゴかれてきたっス…」


ため息交じりで零した涼太の言葉には精力を感じられないほどだった。
相当シゴかれてきたのであろう。
そうと知ればお疲れの涼太をジュニアたちのオモチャになんてしてはいけない。
「涼太お疲れだからダメー」そう言ってジュニアたちを渋々引き離す。
残念そうに離れたジュニアたちだけど、ソファに倒れている涼太の元にゆっくりと近付いて優しそうな目をしながら金髪のサラサラな涼太の髪の毛を撫で始めた勇太くん。
すると涼太も優しく笑ってソファに寝ている体制から身体を起こして膝に勇太くんを抱え込むようにして座った。
勇太くんもとても満足げにニコニコしている。


「ゆうたずるいぞー」

「だっておれのにいちゃんだもん。」

「ハハ。そうっスね、俺は勇太の兄貴っスもんね」


そんな二人の姿をじっと見つめていたのは小十郎くんだった。


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