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雨の日曜日って
「じゃあご飯も食べたことだし寝るか」
「はーい!」
時刻は13時ちょっと過ぎ。家族ごっこの休憩と称してお昼も食べ終わり少し雑談を交えて遊んでいた。
ちょうどいい時間になったので、家族ごっこでは夜の寝る時間の設定でみんなで、お昼寝をすることにした。リビングに布団を持ってきて川の字になって各家族ごとまとまって布団に入る。
「ちょっと寝ようね」
「かぞくごっこまだやる?」
「やるよー」
「おきたらあさごはん…」
「あさごはんだな」
ジュニアは気持ちがいいくらいにすぐに寝息をたてはじめて眠りについた。
3時になったら起こすと言われたので私たちもせっかくなので眠ることにした。真太郎が隣なのが何だかとても新鮮だった。久しぶりにやった家族ごっこ。大きくなってからやるなんて思ってもみなかった。
さっきまでギャーギャー騒いでいたリビングがしん、と静まり聞こえるのはジュニアたちの可愛い寝息に外で降り続ける優しい雨音だけ。するとなんだか本当に気持ち良くなってきて瞼を閉じた。
「おかーさん」
「…?テツナちゃん…?」
感覚的にはそれほど長い時間眠ってない気がしつつも起こされたようなので眠い目を開けると横になっている私の隣でちょこん、と座り何かを訴えかけているテツナちゃんがいた。
「あのね、おそといきたいです…」
驚いた。テツナちゃんは普段あまりワガママを言ったりしないから。
重たい身体を起こしてテツナちゃんと同じ目線になりテツナちゃんの顔を覗くとどうやらとてもお外に行きたいらしかった。
「分かった。じゃあ風邪引いちゃうからちょっとだけね?」
「はい!」
まだ寝ているみんなをなるたけ起こさないようにしてゆっくり布団から抜け、レインコートやらを取りに部屋へ向かう。
一体お外に何をしに行きたいのか知らないけど、出掛ける準備をしている私を待つテツナちゃんはとても嬉しそうだ。顔が綻んでいる。
「さ、行こっか」
「…にごーもです」
「へ?二号も?」
「にごーもいかなきゃです」
「でも二号濡れちゃうよ?」
「にごーがいきたいって…」
そこで私は気が付いた。テツナちゃんがどうしてもお外に行きたい理由は二号なのだと。一日に一回のお散歩をテツナちゃんは一回も忘れたことがなかった。雨の日でも二号の為に買った犬用のレインコートを着せて散歩に行くのだ。
「二号、嬉しそうだね」
「にごーよかったですね」
「わふっ」
まださっきより小降りになったみたいで良かった。レインコートを着せた二号に小さな傘を持ちながら二号のリードを引くテツナちゃん。その後ろをほっこりしながら眺める私。
二号とテツナちゃんは何やら会話を楽しんでいるようで…
「征十郎たちが心配しちゃうから、今日は早めに戻ろうね」
「はい。」
それにしても、こんな日曜日も新鮮かもしれないー…
傘に雨の雫が当たるポツポツという音を聞きながらこんな雨の日の日曜日も良いものだと感慨にふけていた。
「お母さんにテツナお帰り」
「あらお父さん…起こしちゃった?」
「いや、今さっき起きたところなのだよ。ただ起きて隣にお母さんがいなかったから少し驚いた」
「そんなお父さんの不審な行動に僕は起こされました」
「俺も起きたっスよ…て、二号とテツナっちビショビショじゃないスか」
雨の日のお散歩を無事に終えたので濡れている二号とテツナちゃんをタオルでくるんでリビングに向かうとみんなが起きていた。どうやらまだジュニアたちは寝ているようだけど
涼太は私の腕の中にいる二号と隣にいるテツナちゃんを驚いた表情で見比べる。
「おさんぽです」
「そうですか。二号のお散歩ですか。テツナさんおいで。拭いてあげます」
「二号も拭いてやるのだよ」
両手を広げたお兄ちゃんのテツヤの元に駆け寄ったテツナちゃんは嬉しそうにタオルで拭かれている。真太郎に渡した二号も丁寧に拭かれている。
時計を見ると14時半を指していて、まだ起きていない征十郎やさつきたちがそろそろ起きる頃かと思っているとどうやら起こしてしまったみたいだ
「…騒がしいな、もう起きたのか」
「ごめん赤司っち。起こしたっスか?」
「そんなことろだ。起きるのは構わないがしっかり寝たのか?休養も大事だぞ」
さすが征十郎。あんなによく眠っていたのに寝起きでもしっかりしている。
…まださつきと大輝と敦は起きそうにもないけれど。
「あさごはん…」
「健、まだ起きていないじゃないか。顔洗ってきなさい」
「うーん…」
「もう、じゃあ私が一緒に行ってあげるよ」
「テツヤ冷蔵庫からジュース出してー、涼太はジュニアのコップ出して」
「わかりました」
「はいっス!」
「光輝、ちゃんと座れ」
「はーい」
朝ごはんと称したおやつがテーブルに並べられてみんなそれぞれ家族ごとに席につく。挨拶は一斉に征十郎の掛け声によりいただきますをし、食べ始める。
「あ!おとそはれてるっす!」
「ほんとだー!」
「あめふってない!」
相変わらずおそと、が言えない勇太くんは大きな声で窓の外を指差して雨が降っていないことを告げた。それに反応したジュニアたちも騒ぎ出した。
一時的なものかな?それとも本当にやんだのか…
「じゃあおやつ終わったら外出てみようか」
「やったー!!」
やっとお外に行けることがそんなに嬉しいのか、とっても喜んでいる。
「勇太くん!そんな一気に食べたらのど詰まって苦しいよ!」
「だって…おとそ…っ!ゲホゲホッ」
「ほら言ったー。ゆっくりこれ飲んで」
「勇太、外は逃げたりしない。それに食べ物はゆっくり食べるべきだ」
どうやら勇太くんが一気に口に含んだらしく、さつきに背中をさすってもらいながら涙目で苦しそうに飲み物を流している。
「おそとー!」
「あめのにおい!」
長靴を履いてお庭に出ると、外はなんだか雨のにおいに包まれていて少しジメジメしていた。それに芝生とはいえ地面はぐちゃぐちゃで転んだりでもしたら全身ずぶ濡れになる気がする。
それでもジュニアはお庭を走り回って楽しそう。二号も混ざっているようだ。
「やはり外遊びの方が楽しそうなのだよ」
「そうだねー」
「あ、虹っスよ!」
「わ、キレイ!」
「バスケしてー」
「さすがにバスケは無理ですよ」
「お菓子食べれればどっちでもい〜」
「雨の日曜日、か」
空にかかったキレイな虹をみて、雨の日曜日は終わった。
その後家族ごっこは自然消滅をし再びみんな夜になって明日に備えて眠りについた。
「将来の麗華っちの旦那さんは俺スか?」
「え。何それっ」
「黄瀬ェ…」
「頭でも打ったのか?大丈夫か?」
「黄瀬ちん急にどしたの〜?」
「ありえないのだよ」
「また黄瀬くんの妄想癖が…」
「なんなんスかその言いがかりは!」
ちょっとふざけて言ってみただけなのに、俺はさんざんみんなに罵られたりバカにされたりした。
だけど肝心の麗華っちはニコッて笑ってこう言った。
「嬉しいな、涼太が私の旦那さんになってくれるの?」
…と。冗談で気を遣ってそう言ってくれたに違いないけど、俺は素直に嬉しかった。
こういう無自覚なところに、惹かれる人が多いのかもしれないっスけど。
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キセキと家族ごっこしたら楽しそうだなとは思いましたが、書くのは難しいですね…
最後の一文は少し意味深な感じにしてみました。
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